長引く咳(せき)の原因は何が考えられますか
鋪野: |
一般に、8週間以上続く咳のことを慢性咳嗽(がいそう)と呼びます。長引く咳と聞くと、「肺がん」と考えるかもしれませんが、日本における慢性咳嗽の原因の約80%は①咳喘息(ぜんそく)②アトピー咳嗽③副鼻腔気管支症候群という三つの疾患です。これらは胸のレントゲンでは異常は出ません。 |
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詳しい症状と治療方法について教えてください
鋪野: |
咳喘息は慢性咳嗽の最も多い原因です。特徴は、咳が夜間から早朝に悪化することです。咳のために眠れないことがあります。季節によっても変動があります。風邪、運動、喫煙、温度や湿度の変化が悪化要因となります。喘息と異なり、息を吐いた時にヒューヒューするといった喘鳴(ぜんめい)を伴いません。吸入ステロイドによる治療が有効です。 アトピー咳嗽は、花粉症などのアレルギー疾患がある中年女性に多い病気です。のどのかゆみやイガイガ感を伴うのが特徴です。就眠時、深夜から早朝に咳が悪化します。エアコン、タバコの煙、運動などが誘因となります。抗ヒスタミン薬内服や吸入ステロイドが有効です。 副鼻腔気管支症候群とは、後鼻漏といい鼻水が増えて鼻の奥にたまったり、鼻水がのどに落ちるといった症状を伴います。黄色い膿性痰(たん)を伴うことが多いです。慢性副鼻腔炎にかかったことがある方はリスクが高くなります。マクロライド系抗菌薬や去痰薬の内服が有用です。この場合、抗菌薬は細菌感染に対して用いるのではなく、鼻粘膜線毛輸送機能といって鼻水や痰を出しやすくする効果を期待して利用します。 |
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他に原因はありますか
鋪野: |
意外な咳の原因の一つに、逆流性食道炎があります。胃酸が食道に逆流してしまう病気です。食道や咽喉頭が胃酸による刺激を受けることで咳が出ます。咳は食後、前屈みの姿勢、仰向けで寝ることで悪化します。胸焼け、呑酸(どんさん)といって口の中の酸っぱい感じを伴います。胃酸を抑えるプロトンポンプ阻害薬の内服が有効です。 |
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