医療現場からの提言

2018年

vol.03 小児救急の格差是正を

小児に特化した救急とはどのような意義があるのでしょうか

西牟田:

夜間や休日に子どもの具合が悪くなった時、保護者は医療機関受診の判断に迷ったり、不安になります。核家族化で相談する人もなく、日中は仕事のため、子どもの容体に気配りできなかった保護者にとっては、なおさらのことと思います。小児救急は、子育て支援としても重要な役割を担っています。

県内の小児救急の状況は

西牟田:

小児救急体制は、電話救急相談(#8000)、一次(初期)救急、二次救急、三次救急で構築されています。小児の急病は比較的軽症で自宅対応ができるものも多く、電話救急相談が重要な役割を果たしています。千葉県では、2005年から県の委託事業として県医師会が県小児科医会、県看護協会と連携して準夜帯(午後7~11時)から開始し、一次救急受診の減少と、二次・三次への適確な誘導に役立ってきました。16年4月から事業拡大し、対応時間が午後7時~翌午前6時までとなり、16年度実績は3万1312件で前年度より1万件以上増加しています。相談中79.5%は自宅で様子をみることが可能で(観察ポイントと対処を指示)、一次・二次受診を指示したのが19.9%、重症と判断し救急搬送を指示したものも0.6%で、この事業の継続が必要です。

小児救急が抱える課題は何でしょうか

西牟田:

一次救急は地域医師会や病院の協力の下、在宅当番医制や夜間休日診療所で実施されていますが、担当医師不足と医師の高齢化などにより継続や新たな設置が困難となっています。二次救急においても、保健医療圏に1病院しかないところでは勤務医師不足のため365日対応ができず、隣接医療機関の支援を必要としているのが現状で、小児医療の地域格差の是正が喫緊の課題です。三次救急は、不慮の事故対応など、外因系を含めた小児救急医療のさらなる高度化を必要とし、小児救命救急に特化した医療機関の設置が求められます。

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