医療現場からの提言

2017年

vol.07 子どもの肥満とやせ

中学1年の長女が「ダイエットをする」と言い出しました。体重を気にしているようですが、親から見れば太っているようには見えません。ご飯を食べないことの方が心配です。

西牟田:

どれくらい太っているか、やせているかは、標準体重に対して実測体重が何%上回っているか、あるいは下回っているかで評価します。標準体重は性別、年齢別、身長別の計算式によって求められ、表に示されています。

肥満度は、{ [実測体重(キロ)-標準体重(キロ)]/標準体重(キロ) }×100(%)の式で求められます。幼児では肥満度15%以上は太り気味、20%以上はやや太りすぎ、30%以上は太りすぎです。学童では肥満度20%以上は軽度肥満、30%以上は中等度肥満、50%以上を高度肥満と判定します。肥満度を簡単に知るには肥満度判定曲線があり、X軸の身長とY軸の体重の交点から判定することができます。

国際的な体格指標としては、BMI=体重(キロ)/身長(メートル)2 があり、18.5以下をやせ、25以上を肥満と判定します。

成長期なので体重が増える時期だとは思いますが、肥満体型にならないよう気を付けたい点を教えてください。

西牟田:

子どもの肥満のほとんどは単純性肥満で、食事・おやつ・甘い飲料などの過剰摂取、運動不足により、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ることにより起こります。肥満は2型糖尿病、脂質異常、高血圧の原因となり、大人の肥満の元になります。肥満の中には、身長の伸びが悪くなる症候性肥満がありますので、身長の伸びにも気を付けてください。

やせ過ぎも体によくないと思います。

西牟田:

肥満度がマイナス20%以下(幼児ではマイナス15%以下)で、やせと判定します。やせの原因には、朝食を食べない、食べる量が少ないなどの摂取エネルギー不足による単純やせと、消化吸収障害、代謝亢進(こうしん)など病気による症候性やせがあります。単純性やせは、やせ願望や誤ったダイエット、ストレスなどが原因になります。やせ過ぎると、脈が遅くなり、体温が低くなり、筋力が低下し、免疫機能も低下し、月経がある人では無月経になることが多く認められます。

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