医療現場からの提言

2017年

vol.02 がん発見に人間ドックを

毎年健康診断を受けていますが、人間ドックの受診も勧められました。健康診断と人間ドックの違いや、人間ドックを受けるメリットを教えてください。

瀧澤:

人間ドックは、病気を治す「治療医学」に対して「予防医学」と呼ばれています。普通、何かの自覚症状が出てから医療機関を受診することが多いのですが、高血圧、糖尿病、高脂血症、がんなど慢性に進む生活習慣病は、自覚症状が出たときにはかなり進んだ状態になっている傾向があります。特にがんは自覚症状が出た頃には進行がんになっていることが少なくありません。

人間ドックは、住民健診が「対策型健診」と呼ばれているのに対して「任意型健診」と呼ばれ、前者が市町村単位での生活習慣病による死亡の減少を目指しているのに対して後者では、一人ひとりの受診者での健康寿命の延伸を目的としています。

そのため検査項目が多く費用もかさみますが、それだけに潜んでいる病気の検出、特に職域健診などでは見つかりにくい、いろいろな悪性腫瘍(がん)が早期に発見される機会が増えます。人間ドックの費用は原則個人負担ですが、多くは所属している健保組合などから補助金が支給されています。

がんの早期発見につながるのですね。自分の体を詳しく知るためにも人間ドックを受診しようと思います。

瀧澤:

がんは国民死亡原因の第1位です。2015年予測がん罹患(りかん)数は、男性が第3位まで①前立腺②胃③肺で、女性が同じく① 乳房②大腸③肺ですが、同年予測がん死亡数で見ると、男女とも肺、胃、大腸が3位までを占めています。従って、死因の上位を占める肺がんや消化器がんは発見や治療の難しい例が多く、前立腺がんや乳がんは早期診断の効果が得られやすい例の多いことが示唆されます。

致命的疾患における早期診断拡大のために、人間ドック健診の積極的活用や、乳がんにはマンモグラフィー、乳腺エコー検査、肺がんには低線量CT肺がん検診の普及などが期待されています。

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