医療現場からの提言

2017年

vol.05 舌から分かる病気の兆候

舌に口内炎ができたり、舌が白っぽくなったりすることがあります。何かの病気なのでしょうか?心配です。

秋葉:

私たち漢方研究医は、診察のときにしばしば患者さんの舌を眺めます。これを舌診(ぜっしん)といいます。舌診は脈診と並んで漢方医学では大切な診断方法です。ここでは、色調、舌苔(ぜったい)の様子から何が分かるかお話しましょう。

まず、舌の色調から分かることですが、舌は食道や胃などの消化管の入り口に位置しており、胃腸の機能をはじめとして全身の状態を正直に反映しています。舌は均一にピンク色であるのが正常で、暗赤色であったり、青色であったり、白っぽかったりするのは病的と考えられます。

暗赤色は全身の血流障害の存在を考えさせますし、青色は冷え症で温める必要があることを示唆しています。漢方医学では舌診を消化器系のみならず、全身状態を把握する目的で観察するのが特長です。

舌の色で体調の変化が分かるのですね。舌苔とは何でしょうか?

秋葉:

舌の上に付着しているコケ状のものは舌苔と呼びます。色調は白いものが多いのですが、褐色であったり、黒色であったりします。

最近多いのが、若いご婦人でダイエットを心掛けるあまり、生野菜や果物を取り過ぎて体を冷やし過ぎるケースです。その結果、冷え症、めまいや頭痛、立ちくらみなどに悩むようになります。

このような例では、しばしば白い舌苔が厚く付着してきます。これは、漢方で言うところの“過剰な水分が、胃腸を苦しめている”状態です。進行すると気持ちも湿りがちになって落ち込み、自信喪失など、精神的なバランスをも崩すので注意が必要です。

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