医療現場からの提言

2017年

vol.03 いつの間にやら大人が偏食

「大人の偏食」というのがあるそうですが、どのようなことでしょうか?

篠宮:

好き嫌いとは別に、あれが良いと聞けばそればかり食べ、これは良くないと聞けば必要なものもやめてしまう。その結果、栄養のバランスが崩れてしまうのです。

具体的には?

篠宮:

糖質制限が良いと聞けば、おかずしか食べない。でも三大栄養素として、糖質・タンパク質・脂質のどれもが必要なのです。○○という果物の××という成分が良いらしいと聞けば、それを過剰に食べて血糖値が上がったり、太ってしまう。極端はいけません。「健康によいと思って食べ過ぎる」のです。

でも何かが健康に良いと聞くと、とりたくなりますよね。

篠宮:

まず健康のどこによいのか冷静に考えましょう。売る人がもうかって、その人の健康によいだけかも知れない。科学的に証明されているのか?10人で有効だった?残りの990人には効かなかったかも知れない。「あなたはテレビを見ていても、テレビはあなたを見て言っているのではない」ということです。

「血圧・血糖・コレステロールの高めの人に」と書いてあるものを見ましたが?

篠宮:

血圧が下がるとは書いてないのです。行間を勝手に読んで自分の都合のよいように解釈してしまうのです。血圧の薬を3種類飲んでやっと血圧が安定した人が、薬よりよいのかと勘違いして、薬をやめてその食品だけにしていたことがあります。事なきを得たのでしたが…。

これはというお勧めはありますか?

篠宮:

地中海食というものが、寿命や認知機能に有効かもしれないとされています。たっぷりの野菜と果物とともに、精白していない全粒穀物を中心に適量の魚肉・鶏肉・赤ワインなどの食事です。しかし単一の食品をとり続けるのは意味がないとされています。

宣伝を見ても科学的に正しいかはすぐには判断できません。

篠宮:

それなら芸能記事(スポーツ記事もしくはスポーツ芸能記事)と同じようにただ楽しめばよいのです。自分が実行しなくて問題が起こることもないでしょう。

結局どうしたらよいのでしょうか?

篠宮:

これさえ食べれば、飲めばよい、というものはないのです。バランスのとれた食事を楽しみ、適度に身体を動かしてください。心臓発作は、1時間以上歩くと、歩かない人に比べて半減すると報告されています。「便利と横着は身体に悪い」ということです。

そしていまの元気を感謝しましょう。さらに人のために役立つ何かをしましょう。それがあなたの生き甲斐になったら、それこそ元気になれるのです。「奉仕は人のためならず」です。

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