医療現場からの提言

2017年

vol.06 “ぎっくり腰”の対処法

先日、職場の人が“ぎっくり腰”になり、痛みで動けなくなってしまいました。ちょっとした動作でぎっくり腰になると聞きます。

鈴木:

“ぎっくり腰”とは何か?これまで腰痛など、感じたことのない人が不用意に床の一円玉を拾おうとして前屈位をとり、突然激しい腰痛に襲われ動けなくなるような状況を表現するもので、正式な医学的病名ではありません。

この時私たちはどのように対応すべきでしょうか?

鈴木:

まずはそばに安定した物でもあればつかまり、痛みを恐れず、不必要な力を抜き立ち上がります。途中、痛みを強く感じますが、諦めずに、痛みを取ってくれそうな診療所を受診してください。

医学的にみると“ぎっくり腰”は一般に腰痛と言われる中でどういう位置付けでしょうか?

鈴木:

疼痛(とうつう)部位で見ると、肋骨(ろっこつ)の最下縁から大殿筋下縁の溝との間の腰背部のいずれかに感じることが多い激痛であり、単なる筋肉痛か、椎間板ヘルニアや脊椎圧迫骨折か、さらに難しい脊髄神経由来のケースもあり、慎重な診断が必要です。

“ぎっくり腰”の痛みは本人にとっては激烈であり、診断より先に痛みを除去してほしいと言われるのが普通です。しかし、急患で来院される方の中には極めて稀なアレルギー性疾患や特定の薬剤アレルギーを有する方もあり、治療には十分な注意が必要です。

どうすれば痛みがなくなりますか。

鈴木:

鎮痛目的の薬剤はたくさんありますが、内服・外用での効果は万全とはいかず、各整形外科クリニックでの注射等創意工夫に期待が寄せられています。このような環境の中、どうしても痛みがなくならない場合、最も効果的なのは西洋医学に裏付けられた針の経絡治療があり、安全と即効性が目立ちます。

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