健康トピックス

2025.08.22

しつこい咳に注意「マイコプラズマ肺炎」

マイコプラズマ肺炎とは

「マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)」という細菌の一種に感染することにより引き起こされる病気です。しかし一般の細菌とは構造が異なり細胞壁を持っていないため、一般的な細菌性肺炎とは区別され「非定型肺炎」と呼ばれています。感染経路は接触感染と飛沫感染で、感染してから症状が出るまでの潜伏期間は2~3週間と比較的長く、症状がない時に周りに病気をうつしてしまう可能性があります。発症者の80%は14歳以下で大人の場合も比較的若年者に多く、1年を通して流行が見られ、冬に増加する傾向が見られます。

症状と経過

主な初発症状は全身倦怠感、発熱、頭痛などですが、咳は発症後3~5日ほどしてから出ることが多く、解熱後も2~4週間ほど続くことがあります。痰の絡まない空咳(からせき)が特徴的ですが、大人では気道の炎症により痰の絡む湿性咳となることもあります。他にも喉の痛み、声がれ(嗄声)、喘鳴(息がぜーぜー鳴る)、発疹なども起こすことがあります。
38度以上の高熱が出ることが多いですが、「頑固な咳だけ」で熱がない場合や聴診上も所見に乏しいことがあり、特定が難しいこともあります。
マイコプラズマに罹患しても肺炎になるのは3~5%で、多くは風邪や気管支炎で治癒し、小児の方が軽症のことが多いといわれています。一方で、中耳炎、胸膜炎、心筋炎、髄膜炎などの合併の報告も数は少ないものの見られています。

治療・予防

治療には主にマクロライド系の抗菌薬を用いますが、近年耐性菌の出現が問題となることがあり、他の抗菌薬が必要になることもあります。また対症療法として咳止め薬や解熱剤も併用されることがあります。軽症で済むことが多い病気ですが、重症化すると入院が必要になることもあり、感染した場合はタオルなどの共用は避け、水分摂取や栄養補給と安静を心掛け、咳が長引く・息が苦しいなどの症状が出たり全身状態が悪化した場合は、必ず医療機関に相談しましょう。
現在はワクチンなど特別な予防法はないため、手洗い・うがい・マスクの着用など一般的な感染対策を心掛けましょう。

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