せきや寒気がしてただの風邪かと思っていたら、実は大きな病気だったという話を聞きました。何気ない症状に隠れている大病の兆候について教えてください。
大平: |
皆さん誰しも冷や汗をかいたご経験があるかと思います。例えば、非常に恥ずかしい思いをした時や緊張した時には、健康な人でも冷や汗を経験しますが、医学的には、ショック(血圧が低下し、生命の危険がある状態)、低血糖、急性冠症候群(不安定狭心症、急性心筋梗塞)などの重篤な状態を示唆する症状です。 自律神経である交感神経が過度に緊張することにより、末梢血管が収縮して発汗だけ著しくなると冷や汗になります。発症すると約半数が病院到着前に死に至る急性冠症候群では、前胸部や心窩部(しんかぶ=みぞおち付近)の痛みに冷や汗を伴う場合、その可能性が非常に高くなります。高血圧症、脂質異常症、糖尿病、肥満、喫煙など動脈硬化のリスクが高い方では、特に注意が必要です。 |
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吐き気も怖い病気の兆候だと聞きます。
大平: |
同じような自律神経症状に悪心(おしん=吐き気)・嘔吐(おうと)があります。嘔吐は、脳の嘔吐中枢が何らかの原因によって刺激されると自律神経、運動神経を介して起こります。悪心は、同様の刺激により起こり嘔吐運動に至らないものと考えられますが、くも膜下出血など頭蓋内圧が上がる病態では悪心を伴わない嘔吐となるため、その詳細は不明な点も多いとされています。 悪心・嘔吐と聞くと、急性胃腸炎など、消化管疾患が思い浮かびますが、冷や汗と同様に急性冠症候群やショック、低血糖など、交感神経過緊張状態で認められ、重篤な疾患を示唆する症状のひとつです。 |
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体調がすぐれないと思ったら、早めに病院に行く大切さを再認識しました。
大平: |
これらの症状の原因が重篤な疾患か否かは、医師の判断が必要です。信頼できるかかりつけ医を持ち、健康問題が生じた時に気軽に相談できるようにしておくことが大切です。夜間、休日などは、ちば救急医療ネット(携帯電話・FAXサービスもあり)で夜間休日急病診療所や当番医療機関を検索し、相談することが可能です。 |
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