近年、乳がんになる人が増えているそうですね。
橋本: | 乳がんの患者さんは、年々増え続け、わが国では、1年間に8万9千人の方が罹患(りかん)していると推計されています。これは女性の12人に1人が一生のうちに乳がんになる確率であると計算されています。そして、残念なことに乳がんの死亡率も増加を続けています。しかし、乳がんは早期発見できれば9割以上が治る病気であるのも事実です。そのため検診による早期発見の意義と期待は非常に大きいと考えられます。 |
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どんな検診方法があるのでしょうか。
橋本: | 乳がん検診の方法の一つにマンモグラフィがあります。このマンモグラフィは、乳房を圧迫して撮影するレントゲン検査です。これにより手に触れる腫瘤(しゅりゅう=しこり)はもちろんのこと、手には触れない小さな腫瘤や0.5ミリ以下の微細石灰化(カルシウムの沈着)まで発見することが可能です。しかし、全ての乳がんがこの状態で見つかるわけではありません。さらにマンモグラフィも万能ではありません。マンモグラフィに全く写らない乳がんもあります。閉経前の乳房にはたくさんの乳腺があるためマンモグラフィでは、乳がんの早期発見に向かない方がいます。そして、日本ではその年代の乳がんが非常に多いのです。 |
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超音波検査も有効と聞きますが。
橋本: | マンモグラフィで発見できない場合は、超音波検査(エコー)が必要です。超音波検査は、音波を使いますので、マンモグラフィのように被曝(ひばく)もなく、妊娠や授乳をしていても検査が可能です。超音波検査も100%の乳がんを見つけられるわけではありませんが、マンモグラフィと併用することでほぼ全ての乳がんを見つけることができると言われています。 |
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早期発見に向け、受診率をアップさせることが課題ですね。
橋本: | 最後に一番大切なことは、いくら良い検診が行われていても、受ける人が少なくては意味がありません。乳がんは、早期に発見されれば9割以上が治ります。そのため、自覚症状の全くない状態で、乳がんを画像診断(マンモグラフィや超音波検査)によって発見する必要があります。乳がん検診の受診率の向上を含め行政・医療スタッフが力を合わせることにより、良い検診が生まれると考えています。 |
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