地域医療ニュース

第2回高齢社会を考えるシンポジウム「千葉大学と超高齢社会」が開催

2013. 07. 08   文/梅方久仁子

横手幸太郎 氏
横手幸太郎 氏

 次に発表したのは横手氏。「長寿社会の医療を考える」というタイトルで以下のような話をした。

 医療、特に生活習慣病や老年医学の立場から、超高齢社会を考えたい。超高齢社会は、長生きという昔からの人間の願いがかなったとも言える。問題は、寝たきりなど活動状態の低下を防ぐことだ。自立できなくなる原因には、脳血管障害、高齢による衰弱、認知症、骨折・転倒がある。これらを予防していく必要がある。

 血糖値は、以前はとにかく下げようとしてきたが、高齢者で低血糖が起きると認知症が起きやすいことが分かってきた。余命が短い高齢者は、30年後の合併症を心配してむやみに血糖値を下げることはないだろう。

 ちなみに、BMI(肥満指数)が「22」のときに、もっとも病気にかかりにくいことが分かっている。しかし年齢別にBMIの死亡リスクを調べると、高齢者は肥満でも死亡リスクが高くない。

 また、若者と高齢者の転び方を調べると、若者は前方に転ぶが、高齢者は後方に倒れることが多い。

 このように、若者と高齢者を同じには考えられない。高齢者の生活習慣病は、さまざまな要素からQOLを考慮する包括的管理が必要だ。そして生き甲斐作りの支援をするところまで医療として考えることが、超高齢社会では大切になる。

BMI(肥満指数)の数値と死亡リスクとの関係を表すグラフ。30~40代では、BMIの数値が上がると死亡リスクも高くなっているが、80代では死亡リスクは変わらないことが分かる。(クリックすると拡大します)