地域医療ニュース

第2回高齢社会を考えるシンポジウム「千葉大学と超高齢社会」が開催

2013. 07. 08   文/梅方久仁子

 2013年4月9日、千葉大学西千葉キャンパスけやき会館大ホールにて、第2回高齢社会を考えるシンポジウム「千葉大学と超高齢社会」が開催された。医療系にとどまらず、社会科学や建築学など様々な分野から、研究者が参加。行政関係者、学生、一般市民らも出席して、超高齢社会が抱える課題について考えた。その概要をリポートしよう。

第1部 特別講演「高齢化社会における介護保険制度」

千葉大学学長 齋藤 康 氏
千葉大学学長 齋藤 康 氏
文部科学省高等教育局医学教育課長 村田善則 氏
文部科学省高等教育局医学教育課長 村田善則 氏
厚生労働省老健局老人保健課長 迫井正深 氏
厚生労働省老健局老人保健課長 迫井正深 氏

 主催者を代表して千葉大学学長・齋藤康氏、来賓の文部科学省高等教育局医学教育課長・村田善則氏から挨拶があった後、第1部として、厚生労働省老健局老人保健課長・迫井正深氏による招待講演「高齢化社会における介護保険制度」が行われた。

 厚生労働省では、1950年生まれの人が75歳以上になる2025年を1つの目標として、改革を進めている。このように急速な高齢化は世界で例がなく、日本の経験が諸外国の見本になるはずだ。

 日本人の平均的ライフサイクルを見ると、1920年頃には引退後数年で亡くなっていた。今は引退後15年以上も余生を送り、男性パートナーの死後に女性がさらに長生きする。年金、医療、介護など高齢者で増大する社会保障の費用を、少ない若年世代が支えることになる。社会全体で、そのギャップをどう埋めるのか。

 現在の日本では病院で亡くなる人が8割を超えている。自宅で最期を迎えたいと考えている人は多いが、家族への負担と病変時の医療体制が課題だ。海外では病院以外(自宅や施設)で亡くなる人も多く、海外でできるなら日本でもできるのではないか。

 今後、亡くなる人が年間40万人くらい増えるが、それらの方々をどう看取るのか。独居高齢者の介護をどうするか。地域差の問題があり、大都市近郊では一気に高齢化が進む。また、2025年には一定水準で認知症状を示す人は10%を越える。

 これらの課題に、どう対応していくのか。1つのモデルが、地域包括ケアシステムだ。実現するには、必要なサービスが日常生活域で提供されることと、さまざまな職種が連携して包括的なサービスを提供することが必要だ。