地域医療ニュース
第2回高齢社会を考えるシンポジウム「千葉大学と超高齢社会」が開催
2013. 07. 08 文/梅方久仁子
第3部 パネルディスカッション「あかるい超高齢社会」
第3部は、「あかるい超高齢社会」と題してパネルディスカッションが行われた。コーディネーターは、千葉大学医学部附属病院副病院長・千葉県寄附研究部門高齢社会医療政策研究部長・教授の高林克日己氏。パネリストは、千葉大学大学院人文社会科学研究科 教授の倉阪秀史氏、千葉大学大学院医学研究部教授の横手幸太郎氏、千葉大学大学院看護学研究科特任教授の長江弘子氏、千葉大学キャンパス整備企画室/工学部建築学科助教の鈴木雅之氏だ。
まず、パネリストの4氏がそれぞれの立場から発表を行った。
最初は倉阪氏による「超高齢社会と持続可能性について」。内容は以下の通り。
人口減少がはなはだしいところは高齢化が進んでいて、医療・介護以外に、社会の持続可能性に課題がある。
まず、人と人との関係性が希薄になっている。平均世帯人員は2030年に2.3を割り込み、家族介護の基盤が失われている。新生児密度(1平方キロあたりの新生児数)は、1947年は全国平均7.09人だったが2030年では2.76人で、ほとんどの県で1未満になる。つまり、幼なじみの友達ができにくい。
人口減少により、建造物、道路、上下水道など人工資本のメンテナンスが困難になる。また、日本の自然は手を入れないと維持できないため、自然資本のメンテナンスも懸念される。
人的資本(介護など人自体のケア)と、人工資本、自然資本、社会関係資本(人と人とのつながり)の4つをバランスよく各地域で維持する必要がある。
今後の経済部門には、成長部門と持続部門がある。持続部門は、地域によって必要なものが異なるため、地方が主体的に経済政策を行うべきだ。
子ども、高齢者、人工物など、ケアが必要な対象が、実はコミュニティを生み出す原動力になる。そして、それは持続部門のビジネスになる。利幅は大きくなくても、生活の糧を得て暮らしていけるような新しい経済部門が出てくるのではないか。