地域医療ニュース

第2回高齢社会を考えるシンポジウム「千葉大学と超高齢社会」が開催

2013. 07. 08   文/梅方久仁子

中村利仁 氏
中村利仁 氏

 続いて、客員准教授・中村利仁氏から「高齢者在宅医療需要の将来推計 ~千葉県柏市の場合~」についての研究発表が行われた。

 医療資源再配置の検討材料を提示するため、市町村よりもさらに細かいレベルでの在宅医療ニーズの将来推計を行った。

 在宅医療では、医師、看護師などの専門職が患者宅を訪問する。移動時間を考えると、患者密度が高い方が効率がよい。患者密度は高齢者人口密度とほぼ一致する。

 柏市の国民健康保険と千葉県後期高齢者医療広域連合から、65歳以上の被保険者の情報を提供してもらい、柏市内で在宅医療を受けている高齢者のデータを集計した。在宅医療を受けている高齢者の年齢5歳別階級、性別、住所地丁字名、医療機関名のデータと年齢人口データから、丁字別年齢階級別月間受療率を算出。将来人口推計から、丁字別将来患者数を算出した。

 推計によると、後期高齢者の人口密度は大半の地域で2030年にピークを迎えるが、在宅患者数はその後も増加し続けること。そして、2035年には在宅医療のニーズは約2.5倍になることが分かった。また、在宅医療ニーズは地理的に偏在し、集合住宅型だけでなく、一戸建て住宅地域でのニーズも拡大するとの結果を発表した。これらの結果から、計画的な診療所配置が可能になるという。

2035年における柏市内の訪問診療数を推計した地図。(クリックすると拡大します)
訪問診療患者の数は2035年には2010年の約2.5倍になるという。(クリックすると拡大します)