地域医療ニュース

九十九里地域医療夏期セミナー2011
明日の地域医療を担う学生たちが、現場を体験

2011. 10. 26   文/梅方久仁子

協力し合った成果を発表

 基調講演が終わると、いよいよ前日のフィールドワークについて、グループごとの発表。基調講演と発表会は、セミナー関係者だけではなく、関心がある地域の人たちにも開放され、講堂がほぼ満席になる盛況ぶり。

 それぞれが現場に出かけて聞いた内容を自分たちの言葉でまとめた苦労の産物が、次々と発表されていく。実際に参加できなかった現場についても発表で知ることができ、新たな発見につながったのではないだろうか。

 例えば、さんむ医療センターを訪問したグループからは、緩和ケアは診断が始まったときから必要であること、痛みのコントロールだけではなく、心理面、社会面、精神面のケアが必要であることなどが発表された。栄養士さんの話では、「食」へのモチベーションを支えるために患者さんの好きなものをどうやって食べてもらうか、工夫の連続だそう。また発表者からは、「『クスリで医療は完結しない。患者さんの話をまず聞く必要がある』という話が印象に残りました」などの感想も述べられた。

 発表では、写真を使ったりデザインに凝ったりと、見せ方にもいろいろと工夫のあとが見られた。どういうふうにまとめるか、各グループでは何度も話し合われたのだろう。初めて出会ったメンバーで作ったとは思えない、立派なものばかりだ。

 ときには会場からの質問にうまく答えられなくてたじたじとなる場面もあったが、立ち会った現場担当者の支援も受けて、どのグループも見事に発表を乗り切った。

 現場担当者からは、「私たちがやってきたことを若いみなさんに引き継いでもらえるかなという安心感を持ちました」「みなさん、私の学生時代に比べるとしっかりと自分の意見を持っていて、感心しました」という言葉が。貴重な体験をやり遂げて、自信につながったのではないか。

 ヒートアップした発表が続き、かなり時間を超過して終了。中身の濃い活動が続いて、さすがにみんな疲れ切った様子だ。しかし、解散する参加者の顔は、みな満足感で輝いていた。

グループごとにフィールドワークについての発表が行われた