地域医療ニュース

九十九里地域医療夏期セミナー2011
明日の地域医療を担う学生たちが、現場を体験

2011. 10. 26   文/梅方久仁子

 2011年8月27日から28日にかけて、千葉県九十九里地域において、「九十九里地域医療夏期セミナー」が開催された。今年のテーマは、『多職種協同共育』。全国から集まったのは、さまざまな分野で明日の地域医療を担う若者たちだ。この夏、彼らはどんな体験をして、何を得たのか。セミナーの様子を報告しよう。

「人生の友達が見つかることを願っています」

 8月27日の午後、全国各地から集まった若者たちの熱気であふれる県立東金病院の大会議室で、夏期セミナーは始まった。

 オリエンテーションでは、まず主催者の千葉県立東金病院・平井愛山院長から、このセミナーの成り立ちについて説明があった。

 この地域では長年、周辺の診療所や保険薬局などが協力し、地域が一体となって地域医療を支える取り組みを進めてきた。6年前にその評判を聞いたある医学生から「地域医療とはどんなものか体験させてもらえませんか」と申し出があった。そこで、ぜひ大学ではかなわない体験をしてもらおうと、2泊3日で数名ずつの医学生がいろいろな現場を訪問をするプログラムが始まった。プログラムは3年間不定期に実施され、毎年合計20?30名の学生が参加した。しかし、一定の成果を感じつつも、この方式の欠点も見えるようになったという。

 「これからの地域医療は、医師1人では回りません。医師、看護師、薬剤師、ホームヘルパーなど、さまざまな職種の人が連携して患者さんを支えていく必要があります。そういう時代に大切なのは、共に支え合う仲間の存在です」(平井院長)

 ところが1回に2、3名の参加者で、それもほとんどが医学生という状況では、せっかくの体験を共有する仲間が限られてしまう。もっとさまざまな分野の学生さんに地域の現場を体験してもらい、仲間作りにも役立ててほしい。そんな思いで2009年から、九十九里地域医療夏期セミナーが始まった。ここでは医学部、薬学部、看護学部、社会福祉学部など、多くのコ・メディカル分野を学ぶ若者が集まり、1泊2日で共同体験をする。

 「楽しくみんなでわいわいやって、いろいろな人と知り合ってください。人生の友達が見つかることを願っています」と平井院長が言うように、このセミナーの目的は勉強だけではなく、人との出会いや友達作りにもある。

挨拶に立った平井院長