地域住民からのメッセージ

NPO法人地域医療を育てる会 理事長 藤本晴枝さんに聞く

地元の医療のために1つでもいいから自分でできることを

2011. 9. 1   文/梅方久仁子 写真/田村 充

藤本晴枝 氏

地域の人づきあいが、
病気予防の力になる

藤本さんが活動を始めてから、地域の医療にどのような成果が上がったと考えていますか? また、逆に地域の医療で足りない部分はどこでしょうか?

藤本 活動を始めて6年経って、この地域では軽症者が救急車を使う割合が、確実に減っています。また、東金病院の内科医師は一時期(2006年9月)2人まで減りましたが、今年(2011年)の春には12人に増えました。医療関係者の努力や行政の広報活動と相まって、私たちの活動がある程度の実を結んでいると思います。

 今、気になっているのは、糖尿病由来の人工腎臓透析の患者さんがすごく増えていることです。病気の悪化は個人的な問題ですが、人工腎臓透析の人が増えると医療費がかさんで健康保険の財政を圧迫し、地域医療にとってたいへんです。これからは行政と連携して、生活習慣病を予防する活動もやりたいと思っています。

 病気予防には地域コミュニティーの役割が大きいと思います。「健康診断に行きましょう」と言われただけでは、なかなか行かないですよね。「健康でいなくては」という気持ちが大切で、それには人間関係が関わっているのかなと思います。いろいろな方と話をしていると、「家族に心配をかけたくない」「かかりつけの先生にしかられないように」と思って健康に気を配っている人は多いんです。逆に「自分なんて誰も心配してくれない」と感じている人は、健康でいようとする気持ちが弱くなってしまいます。

 そこで、地域の人と人とのつながりを築いていくことが、大切だと思います。自分のまわりに寂しそうな人がいないか、みんなで少しずつ気を配っていけば、病気予防の大きな力になると思います。