地域住民からのメッセージ

NPO法人地域医療を育てる会 理事長 藤本晴枝さんに聞く

地元の医療のために1つでもいいから自分でできることを

2011. 9. 1   文/梅方久仁子 写真/田村 充

藤本晴枝 氏
藤本晴枝(ふじもと はるえ)
1987年東京学芸大学教育学部卒業。同年、東京都江戸川区小松川幼稚園勤務を経て、1996年にサークル「ぶどうの木」を立ち上げ、高齢者在宅介護サービスの情報誌「野の花」「空の鳥」を発行。2004年、山武地域医療センター構想策定委員会のアドバイザーに就任。2005年4月、「地域医療を育てる会」を発足。同年12月にNPO法人格を取得し理事長に就任。

 東金市に住む藤本晴枝さんは、医師不足が問題になり始めた2005年に医療現場の厳しい状況を知る。「住民も何かできることをしなくては」という思いからNPO法人「地域医療を育てる会」を立ち上げ、さまざまな活動を通して問題に取り組んで来た。
 そんな藤本さんに、これまでの活動や住民の立場から見た今後の課題をうかがった。

医師がどんどんいなくなる!

まず、藤本さんが地域医療についての活動に関わるきっかけは何だったのでしょう?

藤本 私は東京で生まれ育って、1996年に東金市に引っ越して来ました。このあたりでは、子どもが夜中に熱を出しても小児科医がいないということで、近くの病院では見てくれません。千葉の病院まで車で連れて行くということが、何度もあって、子育てしにくい地域だなという印象を持っていました。

 子どもがあまり手がかからなくなってきた頃、「山武地域医療センター構想シンポジウム」(2005年1月)に出席したのです。これは行政の側から医療センター構想について説明する会だったのですが、住民から「今、医師の数が減っている問題はどうするんだ」という質問が出たんです。ところが行政からは、研修制度が変わって医師不足になる仕組みは説明してくれるのですが、「一生懸命やっています」というだけで、具体的な解決策が見えません。「このままでは医師不足を解決できそうにない。かなり危ないのではないか」と危機感を持っていたときに、別の用件で東金病院の平井愛山院長にお会いする機会がありました。そのときに平井先生から医療現場の厳しい状況をうかがい、「住民も何かできることをしてくれないか」と言われたんです。

 私は、もともと何か問題が起こったときに、批判をするだけで人任せにするというのが、好きではありません。平井先生から宿題を出された形になって、何か自分でできることはないかと考えてみたのがきっかけです。