医療者から見た地域医療のいま
全国トップレベルの規模を誇る旭中央病院が考える、
地域医療再生に果たせる役割とは?
2011. 9. 1 文/大森勇輝
患者の受け入れ態勢は、
もはや限界に達している
こうしたいわゆる東総地域の医療体制をどうお考えですか?
柏木 やはり、東京に近い千葉県西部に比べて東部の医療体制は厳しい状況にあります。この地域では、診療科目が重複した100?300床ほどの中規模病院が多く、しかもどこも医師不足に悩んでおり、地域の医療ニーズに対応できなかった部分があるのが現状です。そうしたこともあり、多くの患者さんが当院にやってくるという状況が生まれているのです。現在、周辺の地域病院には旭中央病院から26人の医師を派遣しています。
ただ、今後も一極集中が進むと、やがては旭中央病院自体の医療サービスもパンクしてしまう危険性もあるのでは?
柏木 いや、実際、現時点ですでに臨界点に達していると言えるでしょう。
現状に強い危機感を感じていると。
柏木 もちろん、県も含めてこういう状態ではいけないということをアピールしています。医療関係者はこうした窮状を分かってはいるのですが、一方で、こうした訴えは市民レベルにまではなかなか届いてはいませんね。
ただ、それだけ患者が来るということは、患者と医師の関係は良好だということでしょうか?
柏木 そうですね。他の地域で起きているような救急車をタクシー代わりに使うといった不適正な利用や、あるいは昼間に来院できるのにわざわざ空いている夜間にやってくるコンビニ受診は、まったくないとは言いませんが、それほど問題になっているわけでもありません。