医療者から見た地域医療のいま
全国トップレベルの規模を誇る旭中央病院が考える、
地域医療再生に果たせる役割とは?
2011. 9. 1 文/大森勇輝
1日平均の外来患者数、入院患者数ともに、全国の公立病院のなかでもトップクラスの実績を誇る総合病院国保旭中央病院(以下、旭中央病院)。旭市を中心とする千葉県東部や茨城県南東部まで広がる診療圏100万人の命と健康を預かる巨大病院は、地域医療の現状をどうとらえ、そしてその再生にどのように携わっていくのか。同院運営の舵取り役である企画監の柏木嶺氏に話をうかがった。
開院当初から続く病院の拡張
旭中央病院は絶え間なくというほど成長、拡大していますが、その理由をどうお考えですか?
柏木 一つには、初代・諸橋院長のリーダーシップ。それとともに、地域の医療ニーズを常にくみ上げてきた必然的な結果ではないでしょうか。当初の患者は旭市の人々が中心でしたが、規模の拡大とともに評価も上がり患者が増えました。その結果、医師も増やして規模もさらに拡大すると、口コミでの評判がさらに評判を呼んで患者もさまざまな地域からさらに集まるという、上昇スパイラルに乗ってここまで来たのだと思います。
多くの医師を抱えていますが、研修医などの育成はどのように行っていますか?
柏木 当院では、どのような患者に対しても適切な初期医療を行えるよう、25年前からすべての科を回るスーパーローテート方式を採用しております。また、ICU、周産期医療から緩和ケアと、生まれてから亡くなるまでの包括的な医療を実践しているのも特徴です。
また、アメリカのUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)や退役軍人病院から、毎月1度、外国人医師を招へいし指導してもらっています。直接、最先端の医療技術を学べるため、研修医、医師を問わず非常に人気を集めていますね。当院からも毎年数名の医師を派遣しアメリカで研修を受けさせています。そうした諸々の要因から、毎年、研修医の募集数に対して5倍ほどの応募があり、志の高い医学生に集まっていただいております。