地域医療ニュース

地域の高齢化を医療連携でどう乗り切るか?
旭中央病院で2度目の地域医療連携懇談会開催

2013. 06.20   文/大森勇輝

独居で看取れる体制を作っていかなければならない

パネルディスカッションの様子(クリックすると拡大します)

 この後、パネルディスカッションが行われ、そこでも活発な意見が交わされた。とりわけ、江畑医院の江畑氏に対する看取りに関する質問が続いた。それに対し、江畑氏は自身がうまく看取りを行っているというより、患者の要望次第という部分が多いと回答。また、痛みで苦しんでいる患者には入院を勧めており、とりわけ悪性腫瘍(がん)の場合在宅は難しいため、入院させていると語った。

 一方、旭中央病院の伊藤氏は、家族が治療のキーパーソンであると指摘。家族に決めてもらわないと困るという場合が多いが、キーパーソンがいないと、積極的に問題を解決できず、結果、だらだらと入院させ続けるという現状を説明した。

 銚子市地域包括支援センターの安藤氏は、行政の立場からすると、施設を充足させるのは難しいこと。国は、サービス付き高齢者住宅など外部サービスを考えているが、費用がかかる。一方で特に後期高齢者の数が増えるので、介護保険がパンクする可能性もある。そうした状況において、やはり独居で看取れる体制を作っていかなければならないし、また、家族は介護そのものを自分たちのライフスタイルの一つと考え、看取りもその一環だと考えなければならない。つまり、今後ますます住民の意識が重要になってくると意見を述べた。

 特別養護老人ホーム東総園の菅井氏は、ケアマネージャーとして患者や家族の考える将来像を常に把握していきたいと発言。長生きした人が、混乱することなく最期を迎えられるようにしたいと語った。また医療・福祉サービスは必要なときに短期間でも利用すれば、家族の負担も減ると指摘。そのためにも、例えば患者の退院後の連携もスムーズにしていきたいと述べた。

旭中央病院 斉藤陽久 氏

 最後に本会の座長を務めた旭中央病院呼吸器内科の斉藤陽久氏が総括。現状として、退院を余儀なくされる入院患者が多く、満足した形で中堅病院に送ることができていないため、送る側にも不安があるとした。そのためにも、病病連携が大事であるが、言葉だけシームレス、連携といっても、恐らくうまくいっていないのが現実である。だからこそ、これからも話し合いを続けて、着地点を見つけなければならないと語り、本会のまとめとした。