地域医療ニュース
地域の高齢化を医療連携でどう乗り切るか?
旭中央病院で2度目の地域医療連携懇談会開催
2013. 06.20 文/大森勇輝
地域包括支援センターの立場からの報告
最後の講演は、「地域包括支援センターの立場から」というテーマで、銚子市地域包括支援センターの保健師、安藤智子氏が銚子市の介護の状況を解説した。
安藤氏によると、銚子市の人口約7万人中、前期・後期高齢者の数はともに1万人ずつで、とりわけ後期高齢者が増えつつあるという。また、要支援・要介護認定者数は約3,290人で、介護保険利用者数は2,569人。つまり、高齢人口のうち約16%が要支援・要介護認定者で、そのうち介護保険を利用している割合は約78%に上るというわけだ。
そうした状況のもと、銚子市地域包括支援センターでは、介護保険・福祉サービスの内容や使い方、介護相談、予防プランなど総合相談を行っている。そこで問題となるのが、身寄りがない人、認知症独居、生活困窮者、障がい者などが抱える困難への対応であると指摘。続いて、実際に安藤氏が経験した事例が紹介された。
まず最初に取り上げたのが、アパートでの一人暮らしで末期の肺がんを抱えた70歳男性のケース。この男性が地域包括支援センターに支援の要請をしてきたので、保健師が訪問したところ、病状が非常に厳しいことが発覚。幸いかかりつけ医がいたので、そこに救急搬送で入院できた。男性には兄弟や子どもがいたが家族は支援を拒否。男性が亡くなったあとも、家族はかかわりを拒否したという。結局、死亡届の提出はかかりつけ病院の病院長が行い、センターで葬式などを行った。
2つ目の事例として、88歳で要支援2の女性が肺炎から寝たきりになったケースを紹介。このケースでは、家族が家で看取りたいという強い希望を持ち、かつ往診医の協力などがあったため、自宅で看取りができたという。
そして3つ目の事例は、患っていた大腸がんが急激に悪化した75歳の女性のケース。介護保険を申請したいとの連絡が娘からあったため、申請を支援し即日ケアマネージャーに引き継ぎ訪問介護などを受けたが、結局、体調の悪化により入院し、そのまま死亡したという。