地域医療ニュース

市原市で「地域医療フォーラム~いちはらの大切な救急医療を守るために~」が開催

2013. 01. 08   文/梅方久仁子

 自分はたまたま医師不足の現実を知り、大変なことになっているのに根本的な解決策がないことが分かった。そこで、住民としてこの問題に取り組むために2005年4月に活動を開始し、12月にNPO法人地域医療を育てる会を立ち上げた。

 会の活動は、情報発信と対話の場づくりを2本の柱としている。

 情報発信のためには、情報誌クローバーにより現場の実情を伝えると共に、市民は何をしたらいいのかを提案している。

 救急病院では、当直医師は朝9時から一日中診察をしたあとに、夜間の救急外来で一晩中休む間もなく働いて、翌日も朝から診察という勤務をしている。当直とは、本来は病院内で休んでいて緊急時だけに対応する勤務形態だ。それが実際には36時間連続労働になってしまっている。

 かつて東金市では、心肺停止した患者の救急搬送先が決まらずに死亡し、ある新聞が「受け入れ拒否14回」と報道したことがあった。こういった見出しでは、受け入れできるのに受け入れないような印象を与えるが、実際は医師が手一杯でとても受け入れられない状態だった。マスコミは公平に取材しているとは限らないので、住民は自ら知ろうと思わなければ、本当のことは分からない。また、医療・専門機関や行政による情報発信は、住民に安心感を与えてしまうため切迫感が伝わらない。医療関係者には情報を発信する場がないし、下手に発信をすると弁明と受け取られかねない。そのため、第三者の立場から情報発信をすることは大切だ。

 対話の場づくりでは、住民、医療、行政、福祉の関係者が一堂に集まることと、「何が問題か」を共有し「どうしたらよいか」知恵を出し合うことを方針にしている。これまでに懇談会、学習会、対話集会、講演会、地域医療を学ぶ連続講座などを開催してきた。

 医療再生のための橋は、相互通行であるべきだ。自分が変われば、地域が変わる。一人ひとりが、自分でできることを一歩でも始めてほしい。

市民が要望を言い、医療現場や行政がその要望に応えるといった一方通行の橋ではなく、医療再生のための橋は相互通行であるべきと藤本さんは説く。
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