地域医療ニュース

市原市で「地域医療フォーラム~いちはらの大切な救急医療を守るために~」が開催

2013. 01. 08   文/梅方久仁子

市原市長 佐久間隆義 氏
市原市長 佐久間隆義 氏
市原市医師会長 志村壽彦 氏
市原市医師会長 志村壽彦 氏

 平成24年11月11日、市原市保健センターで市原市地域保健医療協議会の主催により、地域医療フォーラムが開催された。市原市保健センター3階の大会議室には約120名が集まり、ぎっしりと並んだ椅子を埋め尽くした。市原市の救急医療はどのような状態なのか、大切な救急医療を守るためにはどうすればよいのか。市民と医療、行政の関係者らが一堂に会して知り、考え、語り合った。

ここで聞いた話を、ぜひ大勢の人に広めてほしい

 最初に主催者を代表して、市原市地域保健医療協議会会長・市原市医師会長の志村壽彦氏より挨拶があった。「市原市の2次救急医療は疲弊した状態。救急医療の現場を市民に理解していただいて救急病院の負担を減らせれば、私たち医師ももっとがんばれる。その第一歩として、このフォーラムを開催した」とのこと。また、共催者を代表して市原市長の佐久間隆義氏から、「大勢の人に集まっていただいて感謝している。多くの人が自分さえよければと思うと、救急医療は大変なことになる。ここで聞いた話を、ぜひ大勢の人に広めてほしい」と挨拶した。 

実態はぎりぎりの努力が続いている状態

市原市医師会救急担当理事 川越一男 氏
市原市医師会救急担当理事 川越一男 氏

 次に「市原市における救急医療の現状」と題して、医療法人芙蓉会五井病院理事長・市原市医師会救急担当理事の川越一男氏による講演があった。講演の要旨は、次の通り。

 市原市には現在3次救急医療施設の救命救急センターがなく、他の医療圏の施設を利用している。2次救急は8つの病院が輪番制で時間外(平日夜間と休日)の診療を担当している。各病院に担当可能な条件を出してもらって、隙間を五井病院が埋める形になっている。

 夜間の救急搬送について2次保健医療圏内の収容率を見ると、山武長生夷隅が66.6%なのに市原は94.6%と、大半は圏内で患者を収容できている。重症患者については消防機関別に見ると、山武、長生、夷隅の2次医療圏内収容率はいずれも50%前後だが市原は87.4%で、重症患者でも多くが圏内で収容できている。また、搬送困難事案の発生率は、全県で12.9%だが市原は8.1%と低い方だ。

 このように市原の救急医療は表面上うまくいっているようだが、実態はぎりぎりの努力が続いている状態だ。