地域医療ニュース

千葉大学高齢者関連3部門開設を記念して
「高齢社会を考えるシンポジウム」が開催

2012. 08. 08   文/梅方久仁子

医療資源を詳しく調べて
対応施策を研究

高齢社会医療政策研究部部長 高林 克日己氏
高齢社会医療政策研究部部長
高林 克日己氏

 次からは、この度開設された3部門の紹介だ。

 高齢社会医療政策研究部部長・高林克日己氏からは「高齢社会医療政策研究部の活動」と題して、次のような講演があった。

 日本の高齢化の例として、東京の通勤圏では2005年からの10年間で高齢者人口が5割増加するという推計がある。今後、入院者数、死亡者数も増加傾向にあることは間違いなく、千葉市は2030年には入院患者が現在の1.6倍、死亡者数2.0倍になると予測される。これだけの量に対応したベッド数、医師・看護師数を増やすのは無理で、今の医療の延長線上に解はない。

 診療所の医師や看護師の年齢を調べると、医療従事者自身の高齢化が進んでいる。

 医師の地域分布を調べると、人口の少ないところは医師が少なく、多いところは急に増える。2020年には地域の偏りがさらに進んで極端になる。

 この方向は是正できるのか、また是正するにはどうするのかについて、さらに研究を進めていく。

 高齢社会医療政策研究部の役割としては、千葉県の高齢社会の現状を把握し、そこから必要な医療資源を算出すること、これまでの高齢社会の医療計画を収集し検証すること、高齢社会の医療のあり方について提言することの3つだという。

千葉県における医療需要の将来予測図
千葉県における医療需要の将来予測図
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