地域医療ニュース

現場から見た新しい医療連携のあり方とは?
海匝地区で地域医療連携懇談会開催

2012. 08. 02   文/大森勇輝

大柳雅美氏
大柳雅美氏

 最後は「病院連携室の立場から」というテーマ。演壇に立ったのは、匝瑳市民病院医療連携室の医療ソーシャルワーカー大柳雅美氏である。匝瑳市民病院は、医師を派遣してもらうなど、旭中央病院と非常に関係の深い病院である。

 その匝瑳市民病院で医療連携室が立ち上がったのは、2010年4月のこと。患者の対処能力を高めること、患者が社会資源を得られるよう援助すること、そして患者とその身近にいる人との交流を促進することなどを目的としている。

 そのための業務は、患者の転入院相談、退院後の支援、福祉相談(経済問題、日常生活などについて)といったものから、主治医やケアマネとの連絡、紹介状の管理、胃ろう患者の調整など多岐にわたる。

 そうした業務をこなすなかで大柳氏が日ごろから感じる問題点は、各方面との情報のやり取りだという。例えば、転入院相談においては、紹介元からもらった情報が現況と違う、また、医師同士で行われる転入院相談でも、連絡窓口の有無など医師によって情報のムラがあるなど、情報の共有を課題として挙げた。

 また、自宅退院支援においては、患者とその家族の意思をどう理解するかが課題だとする。患者は自宅退院を希望する一方、家族が自宅退院を望まないという場合、どのように患者とその家族の意思を統一するのか。また、患者やその家族が自宅退院を望んでいるにもかかわらず、転院や施設入居を勧めるということがあったように、どのように患者、家族の意思を正確に推し量るか、といった点である。

 一方で、転院支援、施設入居支援においても、やはり転院先、入居先の情報を患者やその家族にどう理解してもらうのか。また、病院や施設との情報共有をどのように行えばうまくいくのか、ということを主な課題として指摘。

施設入居支援における課題と改善策

 そうした課題の解決策として

・顔の見える関係づくり
・確実な情報の取得
・十分に情報提供できる環境づくり

という3点を示し、講演を締めくくった。