地域医療ニュース
現場から見た新しい医療連携のあり方とは?
海匝地区で地域医療連携懇談会開催
2012. 08. 02 文/大森勇輝
3番目は「ケアマネジャーの立場から」というテーマで、ロザリオ高齢者支援センターの井上創氏が講演を行った。井上氏はまず、ケアマネの特徴を紹介。
在宅ケアの場合、ケアマネが数カ月から10年単位で相談支援を行うこと。また、関係者が多職種であること。利用者の心身の変化、社会生活上の環境の変化などにより、利用者を中心とするチームも変わっていくことなどを挙げた。
また、利用者の生活から見た地域医療連携として
・自宅での医学的支援と健康管理
・緊急時対応や予後予測への対応
・外来受診のサポート
・入院(入居)時、またはその間の調整、連絡、報告など
・退院(退所)の準備
・ターミナルケア
といった多岐にわたる業務にケアマネが携わると語った。
そうした業務をこなしていくうえで、井上氏が課題として挙げたのが、「低所得者への医療、生活支援のあり方」「独居や高齢者世帯など介護体制の弱い人に対する医学的支援のあり方」、そして「介護サービス利用者と介護者との間で意見の相違が続いた場合における支援の方向性の検討」である。
このような問題を解決するにあたり、必要となるのが“連携の工夫”だ。井上氏によると、情報の効果的な提供、受理のための技術面での向上がケアマネに求められているという。具体的には、個人情報の取り扱い方、地域や関係機関での書式の統一化や運用ルールの見直し、さらには「顔の見える関係づくり」への努力、そして他地域の取り組みを検討することなどが求められているという。
このほか、地域の取り組みに関しては、東京の福生市で行われている「ケアマネタイム」の導入を一例として挙げた。ケアマネタイムとは、医師とケアマネをはじめとするサービス担当者が連絡・相談しやすい環境を作り、情報共有を円滑に行い、ひいては医療と福祉の連携を強化できるよう、医師がケアマネと連絡を取りやすい時間(ケアマネタイム)を設定するというものだ。
そして最後に、平成24年度に介護・診療報酬が改定されたことにより、「介護支援の連携指導」「退院時の共同指導」などを通じて、医療機関と一層の連携を図れるようになったことを強調し、話を終えた。