地域医療ニュース
現場から見た新しい医療連携のあり方とは?
海匝地区で地域医療連携懇談会開催
2012. 08. 02 文/大森勇輝
千葉県旭市にある「総合病院 国保旭中央病院(以下、旭中央病院)」で、銚子市、旭市、匝瑳市からなる海匝地区の地域医療連携を考えるシンポジウム「千葉県海匝地区 地域医療連携懇談会」が開催された。
テーマは「海匝地区における地域医療連携について~各職種の立場から~」というもの。医療、福祉に関係するさまざまな立場の人々が、滞りなく連携するにはどうすればよいのか。最前線で働く当事者の声を紹介する。
吉田象二院長
懇談会は、旭中央病院の吉田象二院長の重要な指摘から始まった。すなわち、全国的に見てもかなり大規模な旭中央病院は、これまで、施設完結型の医療を行っていた。ところが、高齢化の進展などにより地域の医療環境が厳しさを増す中、「いつでも来てください。われわれは何でもやります」という姿勢では、だんだん業務が立ち行かなくなっている。だからこそ“施設完結型”ではなく“地域完結型”の医療が、この先求められるというのである。
さらに、懇談会の座長を務めた同病院の斉藤陽久院長補佐が、話を引き継ぎ、地域医療連携という言葉は20年ほど前から言われているにもかかわらず、なかなか進んでいないのが現状であること。だからこそ、様々な立場の人に意見を述べてもらい、それをもとに地域の医療を改めて考えることの重要さを訴え、ゲストスピーカーにバトンタッチした。
続いて壇上に立ったのが銚子市の関谷医院院長・関谷貞三郎氏である。関谷氏は、「医師の立場から」というテーマで、地域医療連携と人間の脳の働きを比較しつつ、話を展開した。
関谷氏によると、2003年から2011年にかけて、途中の2008年に起きた銚子市立病院の一時休止の影響もあり、圧倒的に旭中央病院、次いで島田総合病院(銚子市)あての紹介状を出す数が増えたという。このような病院と診療所の連携「病診連携」は進んだものの、診療所同士の連携「診診連携」、とりわけ内科の診診連携はほとんどなかったとした。