地域医療ニュース

現場から見た新しい医療連携のあり方とは?
海匝地区で地域医療連携懇談会開催

2012. 08. 02   文/大森勇輝

 ただし、そもそも関谷氏が考える地域医療連携とは、ただ単に紹介状のやり取りで終わるものではなく、「複数の医療機関が、ひとつの医療機関では解決しない専門性の高い疾患について、患者が通院可能な範囲内で、患者に合った治療法を見出すよう意見交換をして、お互いの守備範囲を明確にして治療にあたる」というもの。その結果、「医師個人の負担が減り、地域の医療資源を有効活用することができる」というのだ。

 ところが、実際にはそのような「地域医療連携」が、うまくいっていない現状があるという。例えば、紹介状なしの受診で他院で治療中の患者が来院することが多々あること。また、他院での治療状況が分からず検査を二重に行ってしまったり、逆に検査をしないで済ましてしまう可能性があること。さらには、救急の依頼がなかなか通りづらいこと。連携がうまく取れても、紹介元や紹介先の情報に不案内なため、かえって患者の不興を買うこともあることなどがあるという。

紹介状なし受診の理由はさまざま(クリックすると拡大します)

 こうしたことは、関谷氏によると作業を具体化することでかなり防げるという。その際に認識すべきは「地域医療連携は脳と同じ」だということ。脳は省略することを好み、かつ周囲の状況で錯覚を起こしがち。だからこそ、最新の知識を取り入れ、病院、診療所同士が対等で良好な連携関係を作ることを意識すべきだというのである。

 もちろん、開業医は連携先の病院が本当に患者や家族にとってふさわしいのか、ほかの選択肢はないのか、常に悩んでいるという。だからこそ「顔が見える連携」を目指すべきだとして、次の話者に引き継いだ。