医療現場からの提言

2019年

vol.04 口腔がんの早期発見を

口腔(こうくう)がんの原因は何ですか

丹沢:

「がん」の原因物質に対する感受性・耐性は個人により異なりますが、世界中どこの地域で調査しても、飲酒と喫煙はお口のがんの2大原因とされています。咬(か)み傷、尖った歯、壊れた歯、義歯や詰め物の不適合、やけどなど、お口特有の原因もあります。原因不明の場合も多いのです。がんは粘膜、唾液腺などにも発生しますが、多くは、舌や歯肉の粘膜から発生し、そのほとんどが「扁平上皮がん」という組織型です。

扁平上皮がんはどんな症状が出るのですか

丹沢:

口腔粘膜は扁平上皮という丈夫な構造で、外界からの刺激を遮断する鎧(よろい)の役割を果たしていますので「硬い」のですが、これから発生した扁平上皮がんはこの性質を残していて、硬い「しこり」(硬結)を形成します。また、しこり(がん本体)の中心部は栄養不足となり、壊死して「潰瘍」を形成することが多いです。すなわち、「潰瘍を伴う硬結」が主な症状となります。早期がんでは粘膜の炎症部位に「ざらつき」を触れる場合があります。部位や出来方により痛みなどの症状が出る場合とでない場合がありますので、自覚症状に頼ってはいけません。

早期発見のために何をすべきですか

丹沢:

がんになる前の病変・病態があります。大多数は白色病変ですが、赤色の病変もあります。早期発見のためには、ご自身で1カ月間に1、2回、鏡を見ながら口腔内をよく触って下さい。「白色、または赤色粘膜」、骨や歯でない「硬いしこりや潰瘍」、さらには正常とは異なる「ざらつき」を見つけたらすぐに専門家に相談してください。左右同じ部位を比べて差があるかどうかを見るのもコツです。また、通常の傷であれば10日前後で治癒しますので、2週間以上治らない病変があれば、ぜひ、専門家にご相談ください。

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