医療者から見た地域医療のいま

地域医療を支える「かかりつけ医」?わが町のお医者さん?

医師は生き甲斐を感じられる仕事。
今は、次の世代にリレーをつなぎたい

2013. 12. 20   文/梅方久仁子

布施外科医院院長、香取郡市医師会会長 布施 修一 氏

若い開業医が入ってこない

佐原に戻って、よかったと思いますか。

布施 はい。生まれ育ったところなので、やはり落ち着きます。それに、ここには同級生がいっぱいいます。私は昭和24年(1949年)生まれで団塊の世代ですから、1学年は700人くらいもいるんです。今は子どもが減って、佐原小学校は1学年200人弱になってしまいましたが。

同級生の方たちは、佐原でずっと暮らしていらっしゃる人が多いのですか。

布施 残っているのは3分の1ですね。仕事がないので、ほかは違う土地に移ってしまいました。今はほとんどが、定年を迎えていますが。

定年になった方は、佐原に戻って来ないのでしょうか。

布施 あまり戻ってきません。それが、今の介護・医療の最大の問題でしょう。東京の中心から10~50キロメートルのドーナツ圏に、地方出身の人が家を建てて通勤していました。その人たちが、いっせいに年を取って、介護や医療が必要になってくる。だから、その地域では介護施設を建てたりして、周りの土地から看護師や介護士を引き抜いてしまう。引き抜かれた土地は、さらにその周りから引き抜いていく。だから、このあたりでは、常に看護師が足りません。

それは困りますね。他にこの地域の医療で、困っていることはありますか。

布施 今、地方の医師会の最大の問題は、若い開業医が入ってこないことです。医師不足だからというので厚生労働省は医学部の定員を増やしたりしていますが、都会に偏在してしまうので、意味がありません。

若い開業医に地方に来てもらうために、医師会でやっていることはありますか。

布施 残念ながら、よい方法が見つかりません。ともかく今は、次の世代になんとかリレーをつなぎたいと思っています。今この地域は高齢化の最先端ですが、私たち団塊の世代がいなくなったら、高齢化社会は終わります。それまでは、何とかして自分たちが頑張らなくてはと思っています。

どうもありがとうございました。