医療者から見た地域医療のいま
医師は生き甲斐を感じられる仕事。
今は、次の世代にリレーをつなぎたい
2013. 12. 20 文/梅方久仁子
昔は、二里くらい歩いて普通
勤務医の頃と比べて、診療のやり方などは変わりましたか。
布施 手術はあまり必要ないので、今は予防医学について考えています。寿命は延びても、健康でなければ幸せとは言えません。自分のこととして考えると、介護を受けるようにはなりたくないですね。そのためには、脚力を落としてはいけません。
心臓がギュッと収縮する力で血液を動脈から足先まで送り届けます。では、足先まで行った血液は、どうやって戻ってくると思いますか? 脚の筋肉が動くと血液が押し出されて、心臓に戻ってくるんです。脚が「第2の心臓」と言われる由縁です。だから、脚の筋肉を維持することはとても重要なのです。60代以上の歩ける患者さんには、普段から「できるだけ歩きなさいよ」と話しています。
今の80代の人が若い頃には、車なんてそれほどありませんでした。自転車も貴重品だったから、2里(約8キロメートル)四方から歩いて佐原に買い物に来て、買ったものをかついで歩いて帰るのが普通でした。私が開業したころでも、受診するのに「バス代がもったいないから2里くらい歩いて来た」という人が、けっこういました。だから、今この地域では高齢化が進んでいますが、80代の人は比較的元気なんです。
でも、今はみんな車で、見えているところまで車行くようになりました。このあたりの子どもは、学校には車で送ってもらいます。歩く量がものすごく減ってしまっています。