医療者から見た地域医療のいま

健康フォーラムを10年続けて住民との共通意識を持つ

2011.11.16   文/大森勇輝

医師として与えられた仕事を精一杯やる
そうすれば患者さんも安心するはず

先に3次救急病院の話が出ましたが、救命救急センターを持つ東金九十九里地域医療センターが2014年に東金市に設立されますね。

大川 あんなに立派なものができてしまったら、医師も看護師も引き抜かれてこの地域の医療はどうなるんだという不安の声があります。私はそんな心配はまったくない、逆にチャンスだと思っています。東金九十九里ができれば、脳卒中や心筋梗塞など高度な医療処置を必要とする病気はそちらで診てもらう。そうなると、地域の基幹病院である長生病院は、自分たちが診られる患者をしっかり診る活気のある病院になるでしょう。

 また、国の地域医療再生基金を使って、長生病院の隣に救急施設を作る予定となっています。今年は建築計画を立てて来年早々に実施に移し、平成25年度までに完成という方向で進んでいます。救急といっても管内の医師たちだけでは完結できないので、大学やよそから当直に来てもらうということになるでしょう。ですから、そうした人々が働きやすい環境を作ることを目指してやっているところですね。

 医師会に所属しているのは基本的にベッドのない開業医ですから、簡単な処置を行う1次救急への対応がほとんどです。ですから、基幹病院である長生病院がしっかりしていることによって、我々も安心して治療にあたれます。しかし、今は内科の医師も3名しかいません。医師会としてはとにかく長生病院に基幹病院としての役割をしっかり担ってもらいたいですね。

ひとりの医師として今後やっていきたいこと、将来の展望はありますか?

大川 私としては与えられた仕事を精一杯やると。それからフォーラムも10年くらいは続けていきたいと思っています。今まで誰もやってこなかったことですからね。ある日、テレビを見ていましたら、福井県の永平寺のお坊さんが「ポストでベスト」ということをおっしゃっていた。これは、どんなところ(どんなポスト)でも、一所懸命自分のすべきことに励む(ベストを尽くす)という意味でして、この言葉が好きになりました。私もあれもこれもとやるのではなくて、与えられたところで懸命にやれば医療全体の質も高まると思っています。我々が安心して仕事をすれば、我々が診る患者さんも安心していられる。何も先端技術だけが医療じゃありませんし、我々は日常レベルで医療に励むのみです。

11月20日、茂原市で地域医療フォーラムが開催されます。インタビューにご登場いただいた大川会長は座長として参加されます。お近くの方はぜひともお立ち寄りください。

 長生郡市地域医療フォーラム
 家族で考えよう がん予防 みんなで考えよう 地域医療
  • 日時:
    平成23年11月20日(日)13:00?16:00
  • 場所:
    茂原市民会館(千葉県茂原市茂原101番地)
  • 参加費:
    無料(手話通訳あり)
  • フォーラム内容:
    【第一部】
      講演1 乳がんの予防と対策
      講演2 前立腺がんの予防と対策
      講演3 各市町村でのがん検診の取り組みについて
    【第二部】
      特別講演 「地域医療 再生への処方箋」