医療者から見た地域医療のいま

健康フォーラムを10年続けて住民との共通意識を持つ

2011.11.16   文/大森勇輝

高齢者層は今後どう増えていくのでしょうか?

大川 私もそうですけれど、団塊の世代(昭和22?24年生まれの第一次ベビーブーム世代)は1年間で約270万人も生まれていました。ところが去年の統計だと出生数は107万人、つまり団塊の世代の半分以下となっています。一方で、270万人の層がだんだんと高齢化していくわけですね。そういった人たちが75歳、80歳と寿命を迎えるころになると、医療需要が増えてきます。

 日本は世界に先駆けての長寿国だし、世界から見れば富める国です。これからはそんな日本が、世界に提案していかなければなりません。高齢化社会が進んでも人々が安心して暮らすにはどうすればいいのかといった成功モデルをです。今回の震災もそうですが、「震災を受けたらこうするんだ!」という技術的に確かなアイデアを日本はもっと出すべきだと思います。

この地域の高齢化についてはどうお考えですか?

大川 現実的な話をすると、この地域では年間2000人ほどが亡くなっている。その数は5年もすると2500人に増加する。ところが、医療施設は急には増やせませんので、皆が人生の最期を病院などで迎えたいと望んでもそれは無理な話です。ですから、医療関係者、家族も含めて安心できる仕組みを考えなければならない。となると在宅はもとより今までにない枠組みを考えなければならないでしょう。我々、医師会としても、行政が枠組みを作れば協力するつもりです。