地域医療ニュース

地域別公開講座「最期まで自分らしく生きる」
が開催される

2013. 11.28   文/梅方久仁子

口から食べられなくなったらどうする?

千葉大学医学部附属病院副院長・企画情報部教授 高林克日己 氏
東京大学大学院人文社会系研究科
清水哲郎 氏

 最後に、第3部「自分らしい『お迎え』を考える」と題して、東京大学大学院人文社会系研究科清水哲郎氏が講演を行った。

 清水氏の友人のK氏は、高齢の母親について、医師から「胃ろうにすれば2年くらいは持つが、点滴だけだと1カ月で最期を迎えるだろう」と言われた。K氏には、胃ろうはよくないというイメージがあったが、かといってそのまま終わらせるのはしのびない。その結果、経鼻経管栄養を選択して8カ月が経過したという。

 これは、最悪の例だ。経鼻経管栄養は本人にとって苦しく、どうせ栄養補給をするのなら、胃ろうのほうが楽。胃ろうは手段で、目的ではない。胃ろうにして後悔したという話をよく聞くが、その多くは胃ろうそのものではなく、人工栄養補給をするかどうかの問題だ。

 では、口から食べられなくなったら、どうすればよいのだろうか。

 まず、本当に食べられないのか、考える必要がある。食べさせ方の工夫や口腔ケアで、食べられるかもしれない。今はさまざまな専門家がいるので、専門家に相談することだ。

 どうしてもそれでは足りないというときに、人工栄養補給を検討する。そのとき、医師は、人工栄養補給をすればどれだけ生きるかだけではなく、どういう生活が可能になるかを説明してほしい。

 次に、家族の気持ちは大切だが、本人の人生にとって何が最善かを考えよう。ただ、家族への負担に配慮することも必要で、医療や介護の専門家に相談して、みんなで考えるとよい。

医療の専門家に何を説明してもらうのかを明確にする。ただし、医学的情報だけでは決められない。
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