地域医療ニュース
地域別公開講座「最期まで自分らしく生きる」
が開催される
2013. 11.28 文/梅方久仁子
千葉県では、高齢者が自分自身の終末期を考えるための支援事業を、昨年度から実施している。その一環として、県内各地で9回の地域別講座と、来年2月にはシンポジウムを開催することとしており、その1回目として9月18日、大網白里市の中部コミュニティセンターにて、千葉県主催地域別公開講座「最期まで自分らしく生きる」が開催された。平日の夜、秋の日がとっぷりと暮れたにもかかわらず参加者が次々と来場し、会場には約100人の地域住民が集まった。
書面での意志表示があれば、医療関係者は対応しやすい
高林克日己 氏
第1部は、千葉大学医学部附属病院副院長・企画情報部教授高林克日己氏による基調講演だ。
世界的に高齢化が進んでいるが、日本では突出して急速に進む。高齢者が増えると亡くなる人の数が増え、2013年には年に約100万人が亡くなる。これは、太平洋戦争のときに亡くなった人数よりも多い。そして2030年には、死亡者数が年160万人を超える。
1952年には多くの人は自宅で亡くなっていたが、今は病院で死ぬ人が圧倒的に多い。これまでの自身の経験からすると、病院よりも自宅で亡くなったほうが、幸せな臨終が多い。
死亡場所別に死亡者数の推移を推計すると、医療機関や在宅で亡くなる人の数は、それほど増やせない。介護施設は少し増えるが、全体としてはわずかだ。必ず予測通りになるとは言えないが、数字の上では、適切な医療等を受けることなく亡くなる人が出てきてしまう。
住民は、どこでどのような最期を迎えたいと思っているのだろうか。インターネット上での県民意識調査では、多くの人が終末期の延命治療を望んでいない。ところが、そのことを家族で話し合ったことがある人は、3分の1くらいで、医療関係者と話し合ったことがある人は、もっと少ない。また、終末期にどうしてほしいかを書面で意思表示している人はたった5%にすぎず、ほとんどの人は意思表示していない。
100年くらい前には、ほとんどの人が40~50代で急に亡くなった。医療関係者は、なんとかその命を救おうと努力してきた。今は亡くなるのはほとんどが70代以上だ。本人が延命治療を望んでいなくても、医療関係者にとっては、治療を途中で止めるのは難しい。本人の希望が書面で表明されていれば、ある程度対応していくことができるだろう。