地域医療ニュース
「がんと向き合う・地域で支える ?ケアタウン小平の取り組みから?」をテーマに匝瑳市で在宅ケアフォーラムが開催
2013. 04.16 文/梅方久仁子
1人暮らしの人を支える宮崎のホームホスピス
病院に戻らざるをえなかった25%は、介護力の限界によるものだ。家族の介護力がない、または介護力の弱い1人暮らしや老老介護の人は、どうすればいいのか。その解の一つとして、宮崎の「ホームホスピス」の例を挙げたい。これは、空き民家を改修した「ホームホスピス」に1軒あたり5人くらいの患者さんが生活するもの。管理人が食事の支度など簡単なケアをして、本格的なケアは、訪問診療や訪問看護など外部サービスを利用する仕組みだ。今は宮崎市内に5軒ほどできていて、宮崎市から家賃補助が出るようになっている。
私たちケアタウン小平が目指しているのは、がんになっても、認知症でも、安心して最後まで暮らせる地域社会だ。私たちは新しく建物を建てたが、実際には新しいハードはいらない。廃校になる学校の校舎などに事業所が集まれば、同じことができる。「いいけど無理だな」などと思わずに、ぜひ現実のものとして考えてほしい。
講演後には、質疑応答の時間が設けられた。「自分の親の介護は家族で力を合わせて乗り切ったが、少子化時代に子どもや孫に重荷を負わせられない。『もういいや』と思ったときに外国では安楽死が認められていると聞くが、日本では実現できないのか」という質問があった。山崎氏からは、「世界で安楽死が法制化されているのは、オランダとベルギーの2国。日本では日本尊厳死協会が中心となり、尊厳死の法制化が議員立法として提案されている。法律が通るかどうかはまだわからないが、これから日本中で議論が活発になるはずだ。また、最近では自分の意思を明確に書き残しておけば、意味のない延命治療はされないようになってきている」との回答があった。
最後に、匝瑳医師会会長の橋場永尚氏より挨拶があり、「山崎先生と市民病院で共に働いたことを誇りに思う。匝瑳医師会は在宅ケアに取り組んではいるが、さらに活動を進めたい。たとえがんになっても、みなさんが素晴らしい人生をまっとうできるようにお手伝いしていきたい」と締めくくった。