地域医療ニュース

「がんと向き合う・地域で支える ?ケアタウン小平の取り組みから?」をテーマに匝瑳市で在宅ケアフォーラムが開催

2013. 04.16   文/梅方久仁子

緩和ケアで大切なこと

 山崎氏は、1991年からは聖ヨハネ会桜町病院(東京都小金井市)でホスピス科医長として働き、多くのことを学んだ。その1つは緩和ケアの本質で、もう1つはチーム医療の大切さだ。

 緩和ケアの本質は、緩和医療(痛みを取る)、ウソをつかない(病状を伝える)、生きる意味を見失った人へのケアの3つだ。

 痛みについては、1986年にWHOが提唱した世界標準の方式に従えば、90%の人は苦痛を感じずにすむ。また、患者さんには時間がない。残った時間を大切に生きてもらうには、ウソをつかないで病状をきちんと伝えることが大切だ。

 生きる意味を見失ってしまった人のケアは、話を聞くことだ。これまで十分に頑張ってきて、「もうここまでにしたい」と言う人に「もう少し頑張って」と励ますのは、相手を苦しめるだけだ。だからとにかく、話を聞くこと。人は話を心から聞いてもらえると、気持ちが落ち着いて、生きる力が湧いてくる。聞くことは、それだけで支援になる。

 また、医師だけでは患者さんを支えきれない。栄養士、理学療法士など多職種の専門家とボランティアが、チームで支えることが大切だ。

 このような緩和ケアを、がん患者だけではなく、できるだけ多くの人に提供したい。そのためには、病院に来る人を待つのではなく、患者さんの家に出かけて行ってケアをしようと考えた。ただし、病院には多職種のスタッフが同じ場所に戻ってきて、情報交換できるというメリットがある。そこで、在宅でも同様のケアができるように、2005年にケアタウン小平(東京都小平市)を作った。

山崎氏がホスピスで学んだことの一つは「生きる意味を見失ってしまった人々へのケアの大切さ」。(クリックすると拡大します)
話を聞いてもらえると、気持ちが落ち着いて、生きる力が湧いてくる。(クリックすると拡大します)