地域医療ニュース

山武郡市にて認知症についての
地域医療フォーラムを開催

2012. 08. 08   文/梅方久仁子

目を見開いて、しっかり感動し、
身体を動かすのが最大の予防

 最後は、鳥羽氏、秀野氏ともに壇上に上り、質疑応答の時間が取られた。会場からはいくつもの質問が寄せられた。

 例えば「以前、母親が認知症で、最終段階で胃ろうをやるかどうか医師に問われた。考えた末に選択しなかったが、それでよかったのだろうか」という質問には、秀野氏より「日本老年医学会でもいつも議論になっているテーマ。ガイドラインはあるが、個々のケースで考えざるを得ない。自分の最後はどうするかを事前に文書で明示しておくのがいい」、鳥羽氏からは「胃ろうをつけてリハビリすると、元気になって食べられるようになる場合がある。しかし、本当に終末期になって胃ろうをすることには疑問がある」といった回答があった。

 また、「認知症予防で脳ドックを受診するなら、何年に1度受ければよいか」という質問には、鳥羽氏から「自分の脳がどうなっているか、たまに見るのはいい。しかし、去年何もなかったのに、今年はすごく悪くなっているということはない。毎年受ける必要はない」との回答があった。

 最後に座長の田畑氏より「認知症を進行させないためにやっておくべきことは」という問いがあり、鳥羽氏より「いかに前頭葉を刺激して、情動を豊かにし、記憶に結びつけるかが大切。目を見開いて、しっかり感動し、身体を動かす。人生のアクティビティを高め、社会の中で活動するのがよい」との回答があった。