地域医療ニュース

山武郡市にて認知症についての
地域医療フォーラムを開催

2012. 08. 08   文/梅方久仁子

 認知症が増えると、個人の治療だけではなく、街全体が理解し支える必要がある。現在、サポート医とかかりつけ医で対応力向上研修を受けた人が、全国で2万7000人いる。また、全国で500万人のボランティアサポーターが活躍している。

 症状が進んできたら、どういう形で残された能力に光を当てるかを考える。認知症がかなり進んでも、すばらしい切り紙細工を作ったり、習字を書く人がいるとその具体例を示した。家族は、こういうことを励みに介護しているのだという。

 鳥羽氏は最後に、いつか悪くなったときも、街全体や家族で暖かく見守っていけば認知症は怖くないと語った。

家族がおかしいと思ったら
専門医の診断を

浅井病院副院長 秀野 武彦氏
浅井病院副院長
秀野 武彦氏

 次の講演では、地域の中核病院で認知症の診断・治療にあたる専門家、秀野武彦氏が登壇した。認知症かもしれないと思ったら、どういうときにどこを受診すればいいのかについてや、最近この地域で始まった「山武方式」とはどういうものかという内容だ。

 どんな病気にも言えるが、認知症は早期発見と予防が大切。

 脳ドックは基本的に働き盛りの人が受けるものなので、脳ドックで認知症と分かることはほとんどない。認知症の早期発見には、基本的には「もの忘れ外来」などを受診する必要がある。

 大抵は家族が気づいて「もの忘れ外来」に連れてくる。自分から来る人は、うつや軽度認知障害の場合が多い。家族がおかしいと思ったら認知症であることが多いため、受診したほうがよいとのことである。

 認知症は、その人がこれまでできたことが、「なくなる」病気。診断のときには、以前の状態からなくなったものを探すが、治療になると残ったものを大切にすることを考える。早期治療は、なくなったものが少なくて残っているものが多いため、治療効果が高くなる。

 昨今は、認知症に理解があるかかりつけ医とサポート医が増えていて、地域の診療所で薬を出したりしてくれる。しかし、早期診断は、専門医を受診したほうがいいとのこと。本当に認知症なのか、認知症でもどういうタイプの認知症なのかで、治療法が違うからだ。また、現在の進行度が分かると今後の見通しが立つ。

 認知症を診てくれる診療科は、「精神科」「神経内科」「老年病科」「脳外科」など。ただ、その中でも認知症が得意な医師に見てもらう必要がある。「もの忘れ外来」などの看板があるところに行くとよいという。また、日本認知症学会と日本老年精神医学会にはそれぞれ専門医の認定制度があり、千葉県には40人の専門医がいる。学会のホームページなどで専門医を探すとよいだろう。ちなみに、浅井病院には3人の専門医がいるとのことだ。