健康トピックス

医療トピックス

2013.04.11

食道がんについて知りましょう

食道と食道がんについて

食道は、口から胃へ食べ物を送るときに通る、長さ20~25cmの管状の器官のことです。消化機能はなく、その内側は、食べ物が通りやすいように粘膜で覆われています。

食道がんは、この食道に発生したがんのことをいいます。特に高齢の男性に多く見られるがんです。日本では特に、粘膜の表面の上皮から発生する、「扁平上皮がん」が約90%以上を占め、食道の中央部分に発生することが多いです。

このほか、欧米で増加傾向にある、胃の近辺の食道に発生する「腺がん」などもあります。腺がんは、食生活の欧米化などの影響により、今後は日本でも増加する可能性があるので注意が必要です。

食道の周囲には気管や大動脈、心臓などの重要な臓器が多いため、がんが進行すると、これらに転移する危険があります。

食道がんの症状

食道がんが発生した場合、がんの進行状況によって症状が変わってきます。初期は自覚症状がほとんどないため、小さな違和感を見逃さないことが早期発見につながります。

喉の奥に痛みやしみるような感覚が発生
食物を飲み込んだとき、胸の奥に痛みを感じたり、熱い物を飲んだときしみるように感じたときは、食道がんの可能性が高いです。がんが大きくなるとこの感覚はなくなることがあるので、気になったときに専門医を受診し、内視鏡検査を受けましょう。
食物が喉で詰まる感覚
がんが大きくなると、食道の内側が狭くなり、食物がつかえるようになります。特に食物を丸ごと飲み込んだときや、よく噛まずに飲み込んだときに起こります。がんがさらに大きくなると、食道の内側を塞いでしまい、食物どころか水も通らなくなってしまいます。異変を感じたときにすぐに医療機関を受診しましょう。
せき、声のかすれ
食道がんが進行すると、気管や気管支、肺へ広がり、飲食物を摂取するときなどに咳が出たり、血の混じったたんが出たりするようになります。また、食道のすぐ脇を通る声を調節している神経ががんで破壊されると声がかすれてきます。

食道がんを予防するには

まずはがんの最大の危険因子である、喫煙、過度な飲酒を止めましょう。特に喫煙と飲酒の併用はがんの発生率を急激に上昇させます。食道がんが男性に多いのは、この2つを併用しているのが男性に多いためともいわれています。

このほか、バランスの良い食事を摂り、適度な運動を行い、規則正しい生活を送ることも大切です。また、極端に熱い飲食物の摂取により、食道に継続的な刺激を与えていると、食道がんの発がん率を高めてしまうので注意しましょう。

「扁平上皮がん」については、厚生労働省研究班の調査(※)から、野菜や果物を多く摂取することにより、リスクを低減することができるという結果が出ています。

しかし、これらの予防を行っていてもがんが発生することはあります。がんが発生した場合でも、早期発見、早期治療で完治する可能性は高いです。このためにも、定期的な健康診断や人間ドックを受け、常に自分の体の健康状態をチェックするようにしましょう。

(※)厚生労働省研究班「多目的コホート研究」。2008年8月に発表された、日本各地の45~74歳の男性約39,000人を対象とした調査。

食道がんの治療について

早期発見・早期治療を
喫煙や飲酒を止め、野菜や果物を多く摂取したとしても、食道がんを完全に予防することはできません。食道がんによる健康被害を食い止めるためには、やはり早期発見・早期治療が大切です。
早期発見には
食道がんも早期であれば内視鏡下に切除することができます。
内視鏡下に切除できる「早期」で見つけるためには、残念ながら自覚症状が出現してからの検査では間に合いません。症状が無くても定期的に検診を受けることが必要です。ただし、市町村で行われている、「上部消化管造影」(バリウムを飲んで転がりながら向きを変えてXP写真を撮る検査)では、この段階で発見することは困難です。医療機関で行う「胃内視鏡」で詳細な観察を行うか、ヨードを散布する「色素内視鏡検査」を行う必要があります。
早期食道がんの治療
幸運にも早期で発見された食道がんのうち、最も表面の粘膜層に留まる食道がんに対しては、胃内視鏡下に行うESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)やEMR(内視鏡的粘膜切除術)という治療法で根治(病気などを根本から完全になおすこと)が期待できます。不幸にも粘膜下層まで浸潤してしまっても、早期であれば外科手術を受けることで高い治療成績が期待できます。
進行食道がんの治療
食道がんは臓器を取り巻く「漿膜」というバリアーが無く、進行すると周囲臓器へ浸潤(隣り合った臓器に食い込み、がんだけを取り除くことができない状態)したり、肺や肝臓に容易に転移(がん細胞が飛び火のように広がり、手術で取り除くことができない状態)を起こします。現在、抗癌剤や放射線治療と手術を組み合わせることで、以前より治療成績は向上しました。しかし、早期発見・早期治療に勝る治療はありません。

「予防+適切な方法を用いた健診」が、食道がんから命を守る最善の取り組みだといえるでしょう。

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