医療現場からの提言

2016年

vol.09 ペットからの感染症に注意

家に室内犬がいます。犬から病気がうつらないか心配です。

宍倉:

近年ペットブームの影響で、ペットを飼う人が増えています。昔は番犬やネズミの害を防ぐ(猫)などの社会的役割を期待されていましたが、最近は少子化や核家族化に伴い、「家族の一員」「伴侶動物」として位置付けが変化しており、室内で飼うなどペットとの距離もかなり近くなっています。

さらに、数が増えただけでなくペットの種類も多様化し、今までにない感染症も広がってきています。今回はペットからの感染症についてお話しします。

どんな感染症があるのでしょうか?

宍倉:

ペットから感染する病気は多数あり、日本でも約30種類が認められています。主なものを挙げると、ネコからは、トキソプラズマ、ネコひっかき病、Q熱など。犬からは、イヌ回虫症、パスツレラ症、サルモネラ胃腸炎など。鳥からは、オウム病、カンピロバクター腸炎、クリプトコッカス症などがあります。

これらの中には健康を害するだけでなく、命に関わるほど重症化したり、髄膜炎・脳炎を引き起こして、治っても重い後遺症を残す病気もあります。妊婦がトキソプラズマに感染すると、流産や死産の原因になることは有名な話です。

ペットとして歴史の古い動物では、感染症に関してもある程度研究が進んでいますが、最近飼われ始めた動物に関しては、どんな感染症が潜んでいるか分からないため注意が必要です。特に、爬虫(はちゅう)類や野生動物は感染症について不明なことが多く、一般家庭での飼育は控えるべきとされています。

普段どのようにペットと接すればいいのでしょうか?

宍倉:

感染を予防するには

①過剰な触れ合いは避ける。口移しで餌をあげるなどはもってのほか。スキンシップも控え、触った後はきちんと手洗いをする

②飼育環境を清潔に保つ

③ふん尿は速やかに、適切に処理する

――などを守ってください。

また、ペットからの感染症に特徴的な症状はありません。従って、ペットを飼っている方が身体に異常を感じたら、できるだけ早く医療機関を受診し、飼育しているペットの種類と飼育場所などを医師に詳しく伝えてください。

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