医療現場からの提言

2016年

vol.03 花粉症には免疫療法も

スギ花粉のアレルギーに悩んでいます。なぜ花粉症になるのですか。

仲野:

花粉症は、花粉に対する抗体がたくさんできることで発症します。抗体は本来、体に良い働きをしますが、花粉症の場合、抗体が反応しすぎていろいろな症状が現れます。花粉が鼻に付着すると、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状が現れ、それ以外に目のかゆみ、皮膚のかゆみ、咳、のどのイガイガも出てきます。

日頃から心掛けるべき対処法は?

仲野:

花粉が飛んでいるときには、吸いこまない対策を立てる必要があります。千葉県では、雨の降った翌日、天気の良い、南風の強いときに特に花粉が多く飛ぶことがあります。インターネットなどの花粉情報に注意し、多い時には極力外出を避けるように。どうしても外出する際には、マスク、メガネを使いましょう。セーターのような花粉が付着しやすい衣類の着用を避け、家に入る前によく衣類の表面を払ってください。帰宅後すぐに、洗顔、うがい、鼻をかみ、花粉の多い時には窓を開けっぱなしにしないようにしましょう。布団や洗濯物を外に干さない、掃除をまめにするなどの心掛けも必要です。

特にきつい症状の人はどうしたら?

仲野:

例年、強い症状が出る人には初期療法をお勧めします。遅くとも花粉飛散の予測日に、できればその1週間前から薬を使うことが望ましいとされます。症状が出る前から薬を使うことで、重症化を防ぐことができます。

薬には、どのような種類がありますか?

仲野:

薬はどういう症状が強いのか、どのくらい重症なのかに応じて選択する必要があります。くしゃみ・鼻水に効果が強いタイプと、鼻づまりに効果があるタイプがあり、薬の効果もマイルド、中等度、強い薬があります。花粉が飛んでいる間は服用を続けるべきです。

その他の治療法は?

仲野:

薬の効果が現れない人には、手術や免疫療法があります。具体的には鼻の粘膜をレーザーで焼く方法や、粘膜や骨を削り取る手術があります。2年前からスギ舌下液の処方が可能になり免疫療法ができるようになりました。この療法は、スギ花粉のエキスを1日1回、舌の下に2分間入れて、その後飲み込む治療法です。治療を重ねていくうちに、体が徐々にスギ花粉に反応しなくなります。効果が得られるまでには2~3年続ける必要がありますが、今後とても期待が持てるお勧めの治療法です。効果も強く、月に2回の通院で済みます。スギ花粉症を治癒させることも可能で、その他のアレルギーになることや将来ぜんそくになるのを予防する効果もあります。

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