医療現場からの提言

2016年

vol.02 睡眠時無呼吸症の検査を

「睡眠時無呼吸症候群」という言葉を最近よく耳にしますが、具体的には体がどんな状態になることですか?

永田:

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、読んで字のごとく睡眠中に呼吸が停止する疾患で、多くの場合気道(のど)が狭くなり塞(ふさ)がることによって引き起こされます。

のどが狭くなる原因は何でしょうか。また、SASになりやすい人の特徴は。

永田:

のどが狭くなる原因として多いのは「肥満がある」「顎(あご)が小さい」「扁桃(へんとう)が大きい」などです。いびきや睡眠時無呼吸があり、熟睡感の欠如や日中の眠気、集中力の低下などを伴うとSASと診断されます。肥満のある中年男性に多く見られますが、閉経後の女性にも多い傾向があり、扁桃肥大やアデノイド=咽頭(いんとう)扁桃=がある小児でもSASになることがあります。日本では200万人がSAS患者と推測されています。

具体的な症状と、身体への影響について説明していただければ。

永田:

SASでは、呼吸の回復と同時に睡眠が浅くなるため、深い良質の眠りを取ることができず、ひどい場合には夜間に度々目が覚めてしまうこともあります。このため、睡眠時間を十分とっても熟睡ができておらず、日中眠気などの症状を引き起こします。また、夜間血中の酸素濃度が低下するために心迫数が増加し心臓に負担がかかります。重症のSASを放置すると、高血圧、虚血性心疾患、脳血管障害などの心臓血管系の合併症のリスクが高くなります。

検査の受け方や治療方法について教えてください。

永田:

日常生活で自覚症状がなくても、家族などからいびきや睡眠時無呼吸を指摘されている場合には、睡眠検査を受けることが望ましいと考えられます。最近では、携帯型検査装置を用いて自宅で行える検査が普及してきており、一般診療所でも検査を行う所が増えています。治療は、CPAP(鼻にマスクを装着し、圧をかけて気道を広げる器機)、マウスピース、手術などがあり、無呼吸の重症度やのどの閉塞の原因によって適切な治療方法が選択されます。

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