医療現場からの提言

2016年

vol.05 禁煙へ専門外来受診も

近年、喫煙のリスクが広く知られるようになり、禁煙や分煙の意識が高まっています。しかし、タバコをやめられない人や禁煙が続かない人は多くいます。良い方策はあるのでしょうか。

内田:

タバコはがん・心血管病・慢性閉塞性肺疾患の重大なリスクであり、日本では喫煙が原因で年間13万人が死亡しています。それにも関わらず、平成26年度の調査では、現在習慣的に喫煙をしている人の割合は19.6%(男性の32.2%、女性の8.5%)です。習慣的喫煙者のうち、29.2%の人はタバコを止めたいと思っているに止められずにいます。

なぜ禁煙は簡単にできないのでしょうか? 実は、医学的には喫煙習慣は「ニコチン依存症」であるということがわかっています。

ニコチン依存症について詳しく教えてください。

内田:

タバコ煙に含まれたニコチンは、肺から吸収されるとわずか8秒で脳内に到着し、「脳内報酬系」という部分を刺激して快感を生じます。このニコチンの作用は、コカインやヘロインなどの麻薬と同じであり、ニコチンの依存症の強さと止めにくさは麻薬に匹敵することが知られています。

喫煙後、30~40分が経過すると血中のニコチン濃度が低下し、イライラして落ち着かなくなる禁断症状が出てきます。不快な禁断症状を和らげるために喫煙者は次のタバコを吸ってしまいます。タバコ煙にはニコチン以外にも200種類以上の毒物、60種類以上の発がん物質が含まれています。

やはり喫煙は体に良くないと再認識しました。

内田:

喫煙習慣「ニコチン依存症」は自分のためにも周囲の人のためにもぜひ治したい病気です。禁煙成功のためには「タバコの害を知り、禁煙したいと強く決断すること」が最も重要です。

しかし、自分の意志の力だけで禁煙が難しい場合は医療機関で禁煙外来を受けることをお勧めします。禁煙外来では禁煙補助薬を使いながら禁煙指導を行います。禁煙外来の利用により、禁煙成功率が3倍程度に高くなります。禁煙外来は12週間で合計5回の通院治療を行いますが、費用は全て込みで約2万円程度(3割負担の場合)です。喫煙を続けた場合と比べて経済的でもあります。禁煙をして健康な自分を取り戻していただきたいと思います。

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