医療者から見た地域医療のいま
救急なくして医療なし!
地域の救急医療の明日を住民とともに考え続ける
2012. 02. 01 文/大森勇輝
清水三郎医院 清水三郎 氏
宍倉病院の宍倉朋胤副院長とともに、長生地域の医療問題に取り組んできた清水三郎医師。2次救急体制の立て直し、そして「子どもの救急講習」の実施など、地元に根付いた活動を精力的に続ける清水医師に、地域医療の現状と今後のあり方について話を伺った。
起こってしまった
夜間2次救急の空白
先生は生まれはこちらですか?
清水 そう、長生です。日本医科大学を出たのち、県立東金病院の産婦人科に勤務しました。その後、30年前に開業し、現在に至っています。
では、地元の医療の変化をずっと見てきたというわけですね。
清水 ええ。長生村、長南町などにも医師が増えてきており、これはいい傾向だと思います。
その一方で、まだまだ医師の数が少ないため、この地域の病院はなかなかうまく機能していない部分があります。私の考えは、「救急なくして、医療なし」なんです。長生病院が万全の体制になれば地域の救急医療は大丈夫だと思い、実際、365日24時間診療可能な救急医療を長生病院で行うべきだと提案したこともありました。
もっとも、長生病院では、2011年の4月から桐谷好直病院長が人事権を持つ事業管理者を兼任するようになりました。今後どれだけ人材を集められるのか、ここが長生病院にとって大きなポイントになると思います。
救急医療の問題といえば、かつて夜間の2次救急体制に空白日が発生したことがありました。
清水 そうですね。実は、私は前市長の時代から「2次救急医療がそのうち大変なことになる」と発信していたのです。ところが、取り上げてくれませんでした。新しい田中豊彦市長にも同じことを進言したところ、長生郡市の救急医療の立て直しを目指して、救急医療体制検討委員会が立ち上げられたというわけです。