医療者から見た地域医療のいま
県立佐原病院との「連携」のかたちを探る試み
2011. 12. 14 文/白川昌彦
坂本医院からはどういった病院に紹介するのでしょう?
坂本 一番多いのがやはり県立佐原病院で60パーセント近くです。次に日本医科大学千葉北総病院や成田赤十字病院、旭中央病院、小見川総合病院です。その他の医療機関が2割ほどありますが、これは地元の開業医の先生方との診診連携です。それと千葉県がんセンターなどの専門医療機関です。
北総病院にはドクターヘリで患者さんを搬送したこともあります。連携することでドクター同士、顔見知りが増えました。
病院と連携するためにも、かかりつけ医としての役割は重要ですね。
坂本 佐原は昔ながらの土地柄で、他地区から越してくる方も意外と少ないこともあって患者さんの顔が見えるのも大きいかと思います。私は、もともと東京・千駄木の日本医科大学にいましたが(消化器内科)、昭和62年(1987年)に父の診療所を継ぎました。こちらに戻ってきて来年で25年になります。父は小児科医でしたから、その頃からの患者さんとの家族的な関係を私も引き継いで、かかりつけ医として接しています。
今後、この地域の医療の課題は何だと思われますか。
坂本 私も多くの高齢の患者さんを診ているので分かるのですが、今後は高齢者の認知症が課題になってくると思います。老老介護、独居ということになると、最終的に誰が責任をもって診るかということになります。佐原でも「高齢の方が行方不明になった」と広報に掲載されることがあります。これは恐らく徘徊(はいかい)が原因でしょう。このあたりの住民はそろそろこの課題に気付き始めていると思います。