医療者から見た地域医療のいま
県立佐原病院との「連携」のかたちを探る試み
2011. 12. 14 文/白川昌彦
香取市の県立佐原病院は地域医療支援病院の指定を受けており、地域の診療所との連携を「オープンシステム」という形で進めている。オープンシステムとは、病院の施設・設備を地元の開業医に開放し、普段のかかりつけ医と病院側の医師と共同で診療にあたるというシステムだ。地域医療を支える「病診連携」のモデルというべき同システムに登録する坂本医院の坂本文夫院長に話を伺った。
香取海匝保健医療圏の現況
まずは香取海匝保健医療圏の状況について教えていただけますか。
坂本 香取市は、旧佐原市、小見川町、栗源町(くりもとまち)、山田町が合併してできました。人口8万3853人(2011年10月1日現在)で医療圏は広いです。基幹病院の県立佐原病院では、数年前、医師不足に陥って、残念ながらまだ産科が休止となっています。出産となると、成田赤十字病院や成田市内の診療所などでとなりますので、市民には不自由だと思います。市長も産科を誘致していますが、なかなか補充できていない状況です。
ただ、産科のほかに問題になるのは救急医療です。一時、佐原病院の常勤医師の数が18名にまで減少しましたが、今は25名にまで回復しています。小児科外来にも先生が来られました。
この地域では、夜間などに患者が来てしまう「コンビニ受診」のようなことはありますか?
坂本 私の医院ではほとんどありませんが、ここで治らないと次の診療所に行く、そこでもだめならまた次へといった「ドクターショッピング」のような話は聞いたことはあります。しかし、そういった方はいらっしゃいますが、多くはないです。
開業医も含めて、地元ではどんな救急体制が組まれているのでしょう?
坂本 地元の医師会では、日曜日・祝日の夜間急病診療を行っています。こちらは輪番制で、夜7時から10時までやっています。それと、日曜日に通常診療している内科と小児科の先生がおられますので、夜に患者さんが集中することはないようです。平日の夜間診療は、システムとして決まっていませんので、夜間の緊急の場合はそれぞれ対応し、必要なら佐原病院や旭中央病院など基幹病院に紹介します。
日曜に開業している先生もいらっしゃいますし、病院との連携も進んでいます。それに患者さんの意識も上がっているので、全体としては結構うまくいっています。