医療者から見た地域医療のいま
県立佐原病院との「連携」のかたちを探る試み
2011. 12. 14 文/白川昌彦
安心のかたち「オープンシステム」
病院と診療所の連携である「病診連携」について伺います。先生は県立佐原病院の「オープンシステム」に登録されています。「オープンシステム」では、地域の医師が病院の設備を利用したり、病院に行って自分の患者さんを診療するのですが、そのようなイメージと考えていいでしょうか?
坂本 実は、そこまではいってないんです。本来はそういうシステムなんでしょうが、診療までは行っていません。私が病院に行ってカルテのコメントを書けば、共同治療の加算で保険点数はつきますが、患者さんにも医療費の一部を負担してもらうことになりますので、今は診療までは行っていません。もちろん、共同治療になれば事前に患者さんに説明しなければなりません。
では、今の病診連携はどのような形なのかというと、うちをかかりつけにしていた患者さんが救急車で運ばれて外科手術をした場合などに連携しています。入院したら、病院の地域医療連携室から「入院報告書」がファクスで送られてくるので、どの人が入院したかすぐに分かります。私は、当院の休診日や土日などに、自由に、入院した患者さんのところに行くのです。もちろん病院側の許可を得て、カルテも見せてもらいますが、診療というより訪問みたいな対応をしています。病院の設備も本来は使えるのですが、現状では使っていません。うちで診ていた患者さんが入院した際に「引き続き診ること」が大事なんです。これが患者さんには安心なんですね。退院した患者さんはほとんど当院へ戻ってきます。
また、病院の主治医も電話や「診療報告書」で患者さんの状況を丁寧に知らせてくれます。ですから、こちらも必要な「情報」を病院の医師や看護師に伝えます。こういう連携は大事だと思いますね。このように、病院と診療所の垣根がなくなって、病診連携の形が進んでいます。必要と判断したら各病院へ診療情報提供書を書いて患者さんを紹介します。患者を紹介したら、こちらでは「病診連携台帳」に記録しています。