医療者から見た地域医療のいま

いすみ市が存続していくために医療費を抑える
糖尿病予防事業について、市長に聞く

2011.11.02   文/梅方久仁子 写真/中西 昭

透析患者をゼロにしたい

健診以外には、どんな事業を実施しておられますか。

太田 事業のもう1つの柱は、すでに糖尿病になっている方が重症化しないようにサポートすることです。

 糖尿病は自覚症状がないため、糖尿病と診断されても、さまざまな理由で治療をしなかったり、中断して悪化させるケースが多いんです。そこで、たとえ糖尿病になっても、きちんと治療を続けて悪化させず、人工透析まではいかないようにします。

 そのために、まず糖尿病患者の治療状況を管理するシステムを作ろうとしています。いすみ医療センターや地域の内科の先生方にご協力いただいて、同意を得られた患者さんをデータベースに登録します。そして、登録された患者さんが継続的・効果的に治療ができるよう支援していきます。例えば、しばらく治療が中断している人がいたら保健師が出かけていって面接し、受診を勧めたりする予定です。支援体制を整えるために、来年度は保健師2名を新たに採用します。

 それから、中には経済的な理由で医療機関に行けない人もいます。将来的にはそういう人への支援も必要だと考えています。

最後に、今後の目標を教えていただけますか。

太田  これから透析を必要とする人をできる限り減らしたいと思っています。つまり透析患者を増やさないのが目標です。少なくとも70歳までは、透析を必要としないようにしたいですね。そうして、将来は透析患者をゼロにしたい。

 5年後には、着実に成果を出したいと思っています。